4月11日(木)〜14日(日)にかけて、全日本体操個人総合選手権が群馬・高崎アリーナで開催される。当大会は、パリ五輪の切符をかけた代表選考大会でもあり、体操シーズンの初戦となる重要な一戦だ。

“打倒中国を視野にレベルアップ” 世界王者・橋本大輝の進化

優勝争いの筆頭候補は、昨年の世界選手権で個人総合金メダルを獲得し、オリンピック代表に内定した橋本大輝(22、セントラルスポーツ)。パリ五輪での最大のライバル・中国代表と差をつけるため、この冬、苦手としているつり輪(力技)の強化と、平行棒のDスコア向上(E難度マクーツの導入)に注力してきた。新年の公開練習でも『(中国選手に)平行棒で差を付けられないことが、(パリ五輪の)個人総合で優勝するために必要だと思っている』と話していて、世界王者の新たな強さが伺える大会となりそうだ。

橋本を除くメンバーでは、正直誰が代表になってもおかしくない実力構図。
選考ルール上、合計4試合でミスの少なかった選手が、個人総合の代表2枠を勝ち取ると予想される。中でも最有力は、2023年世界選手権代表の萱和磨(27、セントラルスポーツ)。彼の持ち味である“失敗しない安定感”と、課題としている跳馬『ロペス』の成功率が上がれば、自ずと上位につけてくる実力選手だ。

昨年はケガの影響で悔しいシーズンを過ごした2022年世界選手権代表の土井陵輔(22、セントラルスポーツ)は、今春から所属が変わり、ライバル・橋本大輝とチームメイトになった。練習を積んできた跳馬『シライ/キムヒフン』の完成度も上がり、14.600 (D5.6/E9.0)を超える実施が出てくると跳馬でも高得点が期待できる。2月の公開試技会でも5種目で14点オーバーを発揮するなど、オールラウンダーとして抜けの少ない楽しみな選手だ。

“目指すは兄弟そろって代表入り” 谷川航・翔が挑む全日本

東京五輪では日本代表として活躍した谷川兄弟の兄・谷川航(27、セントラルスポーツ)は、今年2月のワールドカップ中に跳馬の練習で右ひざを負傷した。それでも、3月の練習では6種目をしっかりと確認する様子が伺え、本調子を取り戻してきている印象。選考会までに状態をどこまで上げられるかがカギとなってきそうだ。2022年世界選手権で個人総合銅メダル、2023年にはアジア大会種目別跳馬で金メダルと、国際大会にめっぽう強い頼れるベテランの意地に注目したい。

東京五輪シーズンに怪我で悔しい思いをした谷川兄弟の弟・谷川翔(24、セントラルスポーツ)は、得意種目のあん馬、平行棒に加えて、鉄棒でも点数が獲れる選手になったのがポイント。昨年アジア大会(中国・杭州)では、種目別鉄棒の決勝で銅メダル(D5.9/E8.733)を獲得するなど結果を出してきている。

ダークホースとなれるか、徳洲会体操クラブの若手3強

体操界のホープと期待されるも、2022年4月の全日本選手権決勝で右膝を負傷し、前十字靱帯断裂の重傷を負った岡慎之助(20、徳洲会体操クラブ)。怪我の期間は、日本選手が不得意な「吊り輪」の強化に取り組み、昨年本格的に戦線復帰した。今年3月の公開試技会ではチームトップの得点(85.400)をマークするなど順調な仕上がりを見せている。その岡慎之助の同級生でライバルでもある川上翔平(20、徳洲会体操クラブ)は、この冬、跳馬の新技『ヤン・ウェイ』に取り組んできた。昨年までは『シライ・キムヒフン』や『シューフェルト』と、ひねり系の跳躍で戦っていたが、今季から取り入れる『ヤン・ウェイ』は、日本人選手では珍しい“縦回転系”の技。後半3種目(跳馬・平行棒・鉄棒)を武器に個人総合を戦う。北園丈琉(21、徳洲会体操クラブ)は、東京五輪日本代表として活躍するも、翌年2022年、そして2023年と、選考会の大事な場面での失敗が影響し、世界選手権の代表漏れを2度経験、悔しい思いをしてきた。それでも、昨年のアジア大会(中国・杭州)では、個人総合と種目別平行棒で銀メダルを獲得するなど、復活を遂げる素晴らしいパフォーマンスを見せた。

果たして、パリ五輪代表の切符を掴むのはどの選手か。
全日本個人総合選手権の男子予選は12日(金)、決勝は14日(日)に行われる。

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