衆院決算行政監視委で答弁に立つ日銀の植田総裁(8日午前)

日銀の植田和男総裁は8日、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の日本での導入について「従来以上に懸命に検討を続ける」と述べた。検討するにあたり「自国の決済システムの安全性を確保することが重要」との認識を示した。具体的な時期の見通しに関しては明言を避けた。

衆議院決算行政監視委員会の答弁で述べた。日銀は現時点でデジタル円の発行を予定していないが、2023年4月から実用化を視野にいれた「パイロット実験」を始め、実験用のシステム構築に取り組んでいる。国際決済銀行(BIS)が3日発表した各国中銀や民間銀行を交えて実施する国際送金の実証実験にも参加する。

CBDCは先進国では欧州中央銀行(ECB)の動きが先行しており、デジタルユーロの導入に向けた「準備段階」に入っている。植田総裁は答弁で「できるだけ早くとか(他国に)後れを取らないという観点より、導入するなら国民にとってプラスになる形できちんとやりたい」との考えを示した。そのうえで「国民的な議論のなかで決まっていくもの」だと述べた。

米連邦準備理事会(FRB)もデジタルドルの検討を進めているが、具体的な動きは鈍い。米国の動きは「その影響を観察する」としつつ「米国より先に日本が導入するという判断も十分あり得る」と述べた。

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