NEXCO東日本といすゞ自動車は、除雪車の後方を追従する標識車の自動走行の運用試験を今冬期に開始すると発表した。除雪作業を省人化・効率化する自動走行技術とはどんなものか? NEXCO東日本がいすゞと進める「雪氷対策の高度化」の取り組みをまとめた。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/いすゞ自動車・NEXCO東日本・内閣府(宇宙開発戦略推進事業局)

ロータリ除雪車自動化システムと追従型標識車のあらまし

NEXCO東日本といすゞ自動車が共同開発を行なっている追従型標識車(試験車両)。エルフのダブルキャブをベースにGNSS(GPS)アンテナやLiDARなどのセンサーが搭載されている

 人手不足は物流業界に限った話ではない。熟練の操作運転技術を要する除雪車のオペレータ不足も高齢化や労働人口の減少、建設業の2024年問題への対応などの影響により深刻化している。

 NEXCO東日本では、こうした背景のもと除雪作業の省力化・効率化を目指し「雪氷対策の高度化(ASNOS)」の研究開発を推進しており、その一環として、除雪車の熟練運転技術や経験を必要とせず、省人化にも貢献できる「ロータリ除雪車自動化システム」を開発。

 同システムは、準天頂衛星システム「みちびき」のCLAS(シーラス:センチメータ級測位補強サービス)活用し正確な位置情報をロータリ除雪車の作動制御装置に連動させ、除雪車の走行と作業の操作を自動化できるというもので、北海道の道央道での運用も始まっている。

 いっぽう、NEXCO東日本といすゞ自動車は、このロータリ除雪車自動化システムと協調し、除雪車の後方を追従する標識車の自動走行の共同開発を2021年より進めており、開発中の実証路評価用車両による追従型自動走行に成功した。

 そして今冬期において、高速道路の実運用環境下で試験走行し、その性能等を検証する予定としている。

 なお、標識車とは、高速道路等の路上作業の安全を確保するため、通行車両に規制を知らせる電光表示板や回転灯などを備えた車両のことだ。

今回の取り組みのイメージ。高精度測位情報を取得しロータリー除雪車、標識車の自動走行を実現し、車車間通信により車間距離の調整を行なっている

 追従型自動走行においては、標識車と除雪車との間隔は常に一定でないため、カーブ等で前方が見通せない箇所等、道路の線形や構造に応じて適宜変化させる必要がある。

 このため、開発中のシステムは、準天頂衛星測位システムによる除雪車、標識車各々の位置情報に加え、車車間通信により双方の位置情報の共有や車間距離の指定を行なって、適切に車間距離を変化させる仕組みで、道路の線形に応じて車間距離を変化させる。

 また、標識車は除雪後に側方の堆雪部から落下してきた雪塊等、前方の障害物を検知するセンサーも備え、自動走行の安全性を確保している。

 本技術では作業の省力化、効率化により、現在の2名乗車を1名にすることを目指すという。

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