陸上男子100m日本記録保持者・山縣亮太(31、セイコー)が16日、今シーズンの競技方針についてオンライン会見を行った。
冒頭で山縣は「3月頃から右足に違和感があり、万全の状態で走ることができていない。違和感の原因特定と治療に専念するために日本選手権を含めた大会の出場を見送ることになりました」と表明。パリ五輪の代表選考を兼ねた6月の日本選手権を欠場し、事実上パリ五輪出場を断念する形となった。
決断の理由は、右足の違和感。症状については「坐骨神経痛のようなしびれやツッパリ感、ふくらはぎからハムストリングスにかけてがつってくるような感覚があり、日常生活でも足の裏がチクチクするような状態」と話した。原因は特定できておらず、治療法をチームで模索状態だという。「原因がよくわからない状態なので、非常にモチベーションを保つのが難しい」と自身の状況を説明した。今季は冬場のトレーニングの充実ぶりを明かしていたが、初戦となった4月29日の織田記念陸上では10秒58で予選敗退。右足の違和感もあり、満足いくレースができていなかった。
ロンドン、リオ、東京と3大会に出場してきたベテランが五輪4大会連続出場を断念するという苦渋の決断。「この3年間は五輪のために頑張ってきた部分が大きかったので残念。力不足を改めて痛感していて、喪失感も大きい」と現在の心境を明かした。
2021年東京五輪は100mと4×100mリレーに出場。4×100mリレーの決勝では、1走の多田修平から2走の山縣にバトンが渡らず、日本は途中棄権となった。山縣は以前「国立を僕たちにとっていい思い出にするためにも、パリではしっかりバトンを繋いで頑張りたい」と語っており、五輪には特別な思いがあった。「五輪には何か縁があってずっと出られていた。過去3大会に出場してきたからこそ、回を重ねるごとに思いは強くなっていた。30歳を超えて出場できるかもしれない五輪には絶対出たい、ここは逃せないという思いが大きかったので、非常につらい。これも時間はかかるかもしれないが少しずつ前を向きたい」と話した。
当面の間治療に専念するため、レースへの出場は未定。一方で「3月までのトレーニングの中で、自分の体がまだまだ動けると感じている。ここで引退するわけではないので、1番を目指してやっていくつもり。世界の舞台を意識してやっていく」と前を向いた。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。