広島県内でも競技人口を増やしているアクロバティックスポーツ「パルクール」。華やかな動きとともに強い心を鍛える、キッズ部門日本一の小学生を取材しました。

同じ教室の子どもたち
「空中で回ったりできるのがすごいと思います」
「(教室で)一番うまいです」

フランス発祥のアーバンスポーツ「パルクール」。走る・跳ぶ・登るといった運動を通して心身を鍛えるスポーツの虜になっているのが、篠原光陽(ひなた)さん、9歳。全国大会のジュニアキッズ部門で優勝を果たしたパルクール界注目の小学生です。

日本選手権キッズ部門 優勝 篠原光陽 さん
「世界大会で優勝して、世界でパルクールを教えるコーチになりたいです」

篠原さんが参加しているのは、通っている教室の中でも最難関のコース。そこで唯一の小学生である篠原さんは年上に混ざってハードな練習に必死に食らいつきます。

篠原光陽 さん
「疲れはあるんですけど、そこでがんばらないと、大会とか練習した成果って、疲れが出て、出ないと思うので、疲れているときこそ、がんばらないといけないなってぼくは思います」

9歳とは思えない体と心の強さを持つ篠原さん。ある人との出会いが、国内トップレベルの選手となるきっかけとなりました。

篠原光陽 さん
「荒本先生がいなかったら自分もこんな成長はできていないと思いますし、アドバイスとかくれて、ありがとうございますって思います」

篠原さんの通う教室でコーチを務める 荒本英世 先生。篠原さんは荒本先生の指導を受けるため、2つのパルクール教室を掛け持ちで通っています。

篠原光陽 さん
「もし技が間違っていたら荒本先生は『それ、もうちょっと直した方がいいよ』とか、あと、アドバイスをくれるので、そこが先生のいいところだと思っています」

パルクール教室 荒本英世 先生
「やはり小学生となると、『派手で見た目のいい技から練習したい』とか、『ほかの人がやっていることをぼくもやりたい』ってなりがちなんですけど、彼は今、自分がやるべきこと、そして将来なりたい姿っていうのをまっすぐ見すえて、ぶれずに練習できているので、ぼくはあんまり心配していないですね」

信頼を寄せる師匠のアドバイスを受けながら、苦手としている大技にも果敢に挑戦します。

荒本英世 先生
「途中、めちゃくちゃよかったじゃない。自信持って。練習ってのは最悪の事態に備えた準備。できているな。これより悪い状況はないよ。さあ、行こう。がんばろう」

荒本先生からの励ましの言葉を力に変え、リベンジできるか。

荒本英世 先生
「いいよ。よし」

「ほめることもなく、しかることもなく、事実を伝える。これをすると “自分で考える力” が育ちます。彼の素直さは最大の武器です。いいことはいいとして取り入れて、そして愚直にそれを繰り返し、自分のものとする。心技体が整い、特に心の部分で『パルクールの人というのはこういう人』だというのを示せるような選手になってくれたらなと思っていますし、なると思っています」

篠原光陽 さん
「自分はできなくても、笑顔で挑戦することができるからずっと続けられる。あきらめたらその技ができなくなってくやしいし、ほかの子がぼくよりすごくなったりするので、ほかの子よりあきらめずにがんばって…」

世界の頂点を目指す選手とコーチ。強い絆でともに戦う2人が思い描く “未来の姿” を聞いてみました。

パルクール教室 荒本英世 先生
「今、彼を喜ばせたり、ほめることは簡単だと思います。でも、彼が20歳になったときにも『あのことには価値があった』といって思い出してくれるようになっていれば、“ぼくの指導は本物” だと確信できるかなと思って、これから少なくとも10年は彼といっしょにパルクールの道を歩んでいくつもりでいます」

日本選手権キッズ部門 優勝 篠原光陽 さん(9)
「将来の夢は世界でスピードとフリースタイルで二冠して、世界でパルクールを教えるコーチになりたいです」

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楠本麗奈 アナウンサー
小学生とは思えない、このしっかり具合。パルクールは、目の前に対戦相手がいるわけではないので、常に己との戦いが必要になってくる。メンタルがどんどん鍛えられていくスポーツなんだそうです。今後の篠原さんの活躍に期待したいと思います。

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