陸上男子短距離のサニブラウン アブデル ハキーム(25、東レ)が16日、母校の港区立お台場学園港陽小学校・港陽中学校を訪問した。
約450人の生徒が集まった体育館にサニブラウンが姿を現すと、会場は大きな歓声に包まれ、生徒からの質問に答える形式でトークショーが行われた。
小学校3年生から6年生まで過ごした港陽小学校時代は「やんちゃで校長先生によくお世話になっていた」と振り返った。さらに「好きな給食はカレーと揚げパン」、「運動会ではリレーでぶっちぎっていた」、「体育でジンギスカン踊ったのをよく覚えている」と思い出を語った。中でも「小学校の時の100mのタイムは12秒5ぐらいだった」と答えた時は「速っ!」と、会場全体をざわつかせた。
速く走るために意識していることはという質問に対しては「ちゃんと腕を振って走ることが大事」とアスリートとして生徒にアドバイスをおくった。また、陸上を初めて良かった事はと聞かれ「色んな所に行って、色んな美味しいものを食べて、色んな人に会えること。小学校の時スポーツ選手になりたいと卒業式で言っていて、世界で活躍できるようになれて良かった」と話した。
2011年の卒業以来となる母校に足を運び、「懐かしい。ほとんど変わっていない。子どもたちの元気が良くて、自分も元気をもらえた。来てよかった」と、子供たちからパワーをもらったサニブラウン。
来年の東京世界陸上に向けては「こういった活動から陸上に目を向けてもらいたい。陸上、スポーツをもっと子供たちに目で見て、肌で感じてもらうために、現役のアスリートだからこそ与えられる影響力をもって、もっとこういった活動をしていきたい」と話した。
トークショー後ランチルームに登場すると、生徒たちのテンションは再び最高潮に。3年生の生徒の机で一緒に給食を食べ始めたが、「好きな食べ物は?」、「身長は?」、「どこに住んでるの?」などサニブラウンに興味津々の生徒たちからの質問攻めでなかなか給食に手を付けられない場面も。
そして「嫌いな教科は?」という質問には「国語!」と即答。「俺も一緒!」とサニブラウンとの共通点を見つけ、喜ぶ生徒の笑顔も印象的だった。給食を完食後は、各学年の机を周り「大好きです!」、「頑張ってください!」と至る所から声が飛び交い食堂は大盛り上がり。大声援に「ありがとう」と満面の笑みでハイタッチしながら応えた。
小学生の時は校長室によく呼ばれていたというサニブラウン。13年ぶりに思い出の校長室を訪れると「懐かしいです。母親とともにソファに並んで校長先生と話すことが多々ありました」と苦い表情で思い出を振り返り、「怒られた分成長したと思います」と笑顔で話した。
その後は校長室から移動し、懐かしの教室へ。「机ちっちゃ!入らないですね、脚が…。怒られてよく机ごと階段に出されていました」と懐かしんだ。
卒業アルバムを見ながら懐かしの記憶をたどる中見つけたのが、運動会でクラス代表として力走するサニブラウンの姿。運動会が一番好きな行事で、当時から足は速かったという。
当時サッカーが大好きで元ブラジル代表のロナウジーニョに憧れていたというサニブラウン。実は陸上競技は嫌いだったそうで「母親からサッカーは向いていないと言われ、3年生の時に半ベソをかきながら母親に引きずられて行ったのが陸上を始めたきっかけです」と苦い思い出を話した。
来年行われる世界陸上の目標を黒板に『自分の走りで子供たちに元気を与える』。そこには自分のための目標ではなく、未来のアスリートに向けた思いが書かれていた。
10月12、13日に行われた自身が主催するトレーニングキャンプを始め、オリンピック帰国後に来年の世界陸上で満員の国立競技場を見るため、陸上競技を普及していくためにさまざまな活動で多くの人と交流を計ったサニブラウン。「なかなか地元の子供たちや人の前で走れることは少ないので、自分の走りで子供たちに影響を与えられたら」と日本短距離界のエースが結果以上に大切にしている思いを話した。
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