今回の佐賀人十色は魅力に取りつかれ50年以上モトクロスバイクに乗り続ける吉野ヶ里町の71歳の男性。16日の敬老の日にあわせてバイクで大ジャンプに挑戦しました。
【古川正昭さん】
「年配方。危ない辞めろばかりではなくて、好きなことはしよかんね頑張っとかんねって言いたい」
砂を巻き上げながらコーナーを駆け抜け…急斜面を駆け上がるライダー。71歳の現役モトクロスライダー。古川正昭さんです。
県内でバイク店を3店舗経営している古川さん。11月の世界大会には日本人最年長選手として出場します。モトクロスは、砂利や坂道など舗装されていないコースをバイクに乗って走るアクロバティックな競技です。
【古川正昭さん】
Q・モトクロスバイクの魅力は何ですか?「自分が飛ぼうとか、登ろうとか思った時に馬力が違うから、自分の体以上のことをバイクがしてくれるところ」
神埼市で生まれ育った古川さんがモトクロスを初めて見たのは小学生のとき。地元神埼で開かれたレースを一目見ようと、友人と片道1時間自転車をこいで向かっていたそうです。
【古川正昭さん】
「全日本のモトクロスが初めて九州であったのを見に行った。ずっとそれが頭に残っている」
憧れは変わらず高校卒業後は自動車部品の工場で働きながらモトクロスに挑戦しました。
【古川正昭さん】
「(18歳のときに)全国でも125も250も2番になって自分は嬉しかった」
複数の種目で結果を残した古川さんに転機が訪れます。
【古川正昭さん】
「HondaさんからHondaのオートバイに乗って全国大会に出ないかと言われた。Hondaのチームの監督がオートバイ屋でもして、練習をもうちょっとせろと言われてやりました」
この言葉をきっかけに、25歳で吉野ヶ里町にバイク店をオープン。販売・修理・点検などバイクの知識だけでなく、レーサーとしての実績から固定客も増えていきました。
【古川正昭さん】
Q実際にバイク屋をしてみていかがですか?「意外と忙しかったですね。練習よりはバイク屋の方が余計忙しいかなという感じでした」
一方、レースの出場回数が増えることでケガのリスクも増え、頭や首・腰の骨を折る大ケガも経験したといいます。
【店長で奥さん・古川智恵子さん】
「(正昭さんが)3年おきくらいにずっとケガしてきたので、私もかなりバイクを売れる営業マンになった感じ」
Qバイク好きの正昭さんをどんな風に見てますか?「仕方ないかな。子供みたいな感じ。3度の飯よりも好きみたいな、けがしてもけがしてもレースには出る」
そんなバイクを愛する古川さんは、今年の敬老の日に合わせてある挑戦を決意していました。25メートルを目標にした大ジャンプ。この距離を飛ぶのは初めてです。
【古川正昭さん】
「70超えて続けられますよってのを言いたい」
本番4日前のこの日はジャンプ会場で練習です。まずはコースの下見から。コースには大きく2つの難関があります。1つ目がこの傾斜です。傾斜を上るために右側にある石の壁を利用し、勢いを付けて一気に駆け上がります。そして2つ目が最後の大ジャンプ。赤いコーンまで飛べば10メートル緑のコーンまで飛ぶと20メートルです。
【古川正昭さん】
「1つ目2つ目でしっかりとした谷があるから度胸がないと危ない」
今でも月に1回、熊本県などのレース場に行き、練習を欠かさない古川さん。今回のジャンプで伝えたい思いとは。
【古川正昭さん】
「年配方。危ない辞めろばかりではなくて、好きなことはしよかんね、頑張っとかんねって言いたい」
迎えたレース当日。会場には孫や地元の同級生など20人ほどが駆けつけました。
【古川正昭さん】
Q意気込み「きょうは敬老の日で、近所の方からいっぱい応援にきてあるから、プールの25メートル目指して頑張りたいなと思っている」
【孫】
「頑張ってね、ケガしないでね」
じりじりと日差しが照り付ける中、いよいよ本番です。
【孫たち】
「じいちゃん!」「行った行った行った」「じいちゃん」「わぁ〜」
加速して空を舞う。その距離は…約20メートル。当初の目標には届かなかったものの、みごとなジャンプを成功させました。
【古川正昭さん】
「目一杯頑張ったつもり」
【ジャンプを見た同級生】
「見習いたい。アクションできる年齢じゃないのに、それをやるっていうのは違うかなぁと思う。私たちも頑張りたい」
古川さんが次に目指す世界大会は、11月にアメリカで開催されます。
【古川正昭さん】
「今年の11月の世界28カ国の人が集まる大会で、自分は1桁5番ぐらいにはどうかなと思っている。頑張ってきます」
71歳のモトクロスレーサーの挑戦は続きます。
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