■高校野球神奈川大会 準決勝 横浜高校 2×ー1 武相高校(23日、横浜スタジアム)

56年ぶりの甲子園出場を目指した“雑草軍団”武相高校は、甲子園春夏通算60勝・優勝5回の強豪・横浜高校と対戦し、2×ー1でサヨナラ負けを喫し、夢舞台にあと2勝のところで涙を飲んだ。

「雑草の男たち さあ行こう燃え上れ」この大会、武相高校の応援はいつもこの歌から始まる。エリートやスター選手、プロスカウト注目のドラフト候補がいるわけでもない「普通の選手たち」のチーム。就任4年目となった豊田圭史監督(40)が付けたスローガンが『覚悟』〜雑草の逆襲〜だった。その雑草魂、「粘り強く最後まで諦めない野球」で春季大会を42年ぶりに優勝を果たした。

この夏も2回戦から順当に勝ち上がった。準決勝では2回に2年生の渡辺羽音が先制タイムリー。先発・八木隼俊(2年)は左腕からの巧みな投球術で4回まで横浜高校を無得点に抑えた。

しかし、5回、2死二塁から横浜の2年生キャプテン、すでにプロスカウトも注目する阿部葉太にタイムリー、1対1の同点に追いつかれた。さらに八木は6回にも死球とヒット2本で2死満塁とピンチを招いたが、横浜の7番・奥村頼人を空振り三振に打ち取り、流れを横浜に渡さなかった。

打線は6回からリリーフした横浜の「スーパー1年生」、織田翔希の最速147キロの速球にノーヒットに抑えられた。

1対1の同点で迎えた9回、武相は2死一、二塁のピンチを迎えて、バッターは同点タイムリーを打たれた1番・阿部。ここで豊田監督は阿部を敬遠、あえてランナーを進めて満塁とし、この日3打数無安打の2番・奥村凌大(2年)との勝負を選んだ。

八木の128球目、奥村の打球はレフト前へのライナー。レフト・金城来依夢(3年)が必死のダイビングキャッチも及ばず。サヨナラ負けで武相高校の夏が終わった。

試合後に豊田監督は「横浜高校さんは技術も才能も全てにおいてエリート。僕らみたいなチームが勝つには“この1球”を突き詰めないと。新チームの選手たちはそれを肌で感じてくれたと思うので、3年生は素晴らしいものを残してくれたと思います」と選手たちを称えた。

キャプテンの仲宗根琉空(3年)も「中学校時代に名前も知られていなかった選手が、個じゃなくチーム一丸となって戦ったらここまでできるんだ、というのを表現しようとやってきました。その表現が少しはできたかなと思います。やれることは出し尽くしたので悔いは無いです」と涙をこらえてコメント。

完投負けとなった八木投手はまだ2年生。「来年は先輩たちの成績を超えられるように、もっと努力したいです」と早くも“雑草魂”を燃やしていた。

※写真は武相高校 キャプテン・仲宗根琉空選手(3年)

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