高校ラグビーの三大タイトルの一つ、全国高等学校7人制ラグビーフットボール大会が開幕。長野県・菅平高原のサニアパークで全国各都道府県の代表48校が集結して、熱戦を繰り広げました。

桐蔭学園×東福岡

 7月22日に行われたのは、3チームずつ16のグループに分かれてそれぞれ総当たりで対戦する予選プール。その中で注目を集めたのは、桐蔭学園(神奈川)、東福岡(福岡)、京都工学院(京都)の過去この大会の優勝経験や準優勝の実績をもつ強豪チームが同居したプールH。

 予想どおり、桐蔭学園と東福岡が激突した最初の試合からハイレベルな攻防を展開します。先制したのは桐蔭学園。開始直後の最初の攻撃で、タッチライン際を快走してトライ。5点のリードを奪います。しかし、東福岡もあせらず反撃。粘り強くボールをつないで、桐蔭学園のディフェンスにギャップをつくると最後は中央にトライ。ゴールも決めて7対5と逆転。前半はその後、両チームが1トライずつを奪い合って14対12。東福岡2点リードで終了します。

 サイドの変わった後半、先に得点したのは東福岡。グラウンドを広く使いながらスピーディーにボールを動かして、中嶋優成選手がゴールポストすぐ横にトライ。19対12と突き放します。しかし、中央からのコンバージョンキックを失敗し、点差を拡げることができません。その後は、一進一退。灼熱の太陽の下、走り続ける選手たち。ゲームが中断すると、思わず倒れこむほどの大熱戦となります。

 それでも、1チャンスで追いつける桐蔭学園、残り時間が少なくなる中、懸命に仕掛けます。そして、残り時間2分少々となって両チームの疲れがピークの時間帯、東福岡のディフェンスが密集に集まりすぎた一瞬のスキをついて、徳山凌聖選手が50m以上を走り切ってトライ。ゴールも決めて、ついに19対19の同点に追いつきます。さらに、残り時間1分を切ったまさにラスト1プレイ、東福岡陣内22mラインの内側まで攻め込むと、ラインアウトから素早く展開して、最後は草薙拓海選手がディフェンスを引きずりながらトライ。26対19、最後の最後まで集中力を切らさなかった桐蔭学園が見事な逆転で東福岡を下しました。この勝利で勢いに乗った桐蔭学園は、続く京都工学院との試合も28対12で勝利。プール1位で決勝トーナメント進出を決めています。

大阪桐蔭×大分東明

 予選プールもう一つの注目は、激戦の大阪地区予選を突破して、初めて7人制大会の全国の舞台に進んできた大阪桐蔭。今シーズンは、15人制の選抜大会、サニックスワールドユースと、無敗で栄冠をものにしてきただけに、その戦いぶりに注目が集まりました。第1戦は、札幌山の手(北海道)相手に45対0と完勝した大阪桐蔭。第2戦は、強力外国人選手を擁してこの7人制大会は3大会連続7回目の出場と実績も十分の大分東明(大分)と対戦しました。

 試合序盤は大阪桐蔭ペース。7人制では使いどころが難しいキックを有効に使って大分東明の圧力を避けると、敵陣深くに攻め込んで試合を進めます。そして、大分東明のミスを誘うと、うまくボールの反応した川端隆馬選手がトライ。5点をリードします。しかし、大分東明もすぐさま反撃、直後のキックオフからミスなくボールをつなぐと、巧みなランニングから石川徠人選手が中央にトライ。ゴールも決めて7対5と逆転して、前半を終了します。

 勝負の後半、風上にまわった大阪桐蔭に思わぬミスが出ます。キックオフのボールがそのままタッチラインを割って相手にボールを与えてしまいます。中央からマイボールでの攻撃となった大分東明、このチャンスを確実に生かしました。縦に強い2人の選手がしっかりとしたランニングで前に出ると、フォローした斜木莉士選手が中央にトライ。ゴールも決めて14対5と突き放しました。

 逆転には2チャンス以上が必要な大阪桐蔭、その後は、リスクをおかして自陣の深い位置からでもボールをつないで攻めに出ます。しかし、大事なところでミスが出てボールがつながりません。逆に後半4分、大阪桐蔭がボールをこぼしたところを上手く拾い上げた大分東明の下川悠輝選手がトライ。このトライが勝負の流れを決定づけました。その後も得点を加えた大分東明が35対5で勝利。選抜大会に続く高校ラグビーのタイトルを狙った大阪桐蔭の夢は、大分東明の前に断ち切られました。

予選プールの結果

 予選プールの結果は以下のとおり。関西からは報徳学園(兵庫)、御所実(奈良)がプール1位で決勝トーナメント進出を決めています。

<プールA>
 国学院栃木 68-7 関商工
 国学院栃木 66-7 鹿児島実
 関商工 26-24 鹿児島実

<プールB>
 昌平 47-5 倉吉東
 昌平 57-5 コザ
 コザ 12-5 倉吉東

<プールC>
 尾道 40-14 富山第一 
 山梨学院 26-10 尾道
 山梨学院 31-7 富山第一

<プールD>
 御所実 19-7 流経大柏
 早稲田佐賀 31-21 流経大柏
 御所実 43-5 早稲田佐賀

<プールE>
 佐賀工 31-15 秋田工
 光泉カトリック 39-14 秋田工
 佐賀工 45-12 光泉カトリック

<プールF>
 日本航空石川 21-7 仙台育英
 仙台育英 29-10 高知中央
 日本航空石川 26-7 高知中央

<プールG>
 明和県央 41-5 倉敷
 明和県央 42-14 若狭東
 若狭東 28-15 倉敷

<プールH>
 桐蔭学園 26-19 東福岡
 桐蔭学園 28-12 京都工学院
 京都工学院 21-0 東福岡

<プールI>
 石見智翠館 21-14 高鍋
 高鍋 42-14 青森山田
 石見智翠館 26-14 青森山田

<プールJ>
 四日市工 28-19 黒沢尻工
 松山聖陵 40-21 黒沢尻工
 松山聖陵 42-19 四日市工

<プールK>
 開志国際 21-12 静岡聖光学院
 静岡聖光学院 38-7 高松北
 開志国際 54-0 高松北

<プールL>
 高川学園 33-21 近大和歌山
 早稲田実 24-5 高川学園
 早稲田実 22-10 近大和歌山

<プールM>
 長崎北陽台 59-12 山形中央
 長崎北陽台 35-12 中部大春日丘
 中部大春日丘 50-5 山形中央

<プールN>
 報徳学園 45-0 熊本工
 報徳学園 61-7 聖光学院
 熊本工 29-14 聖光学院

<プールO>
 茗渓学園 63-0 飯田OIDE長姫 
 城東 53-0 飯田OIDE長姫
 茗渓学園 33-7 城東

<プールP>
 大阪桐蔭 45-0 札幌山の手
 大分東明 35-5 大阪桐蔭
 大分東明 42-7 札幌山の手

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