特集は老舗の挑戦です。みそや甘酒を手掛ける長野県岡谷市の「糀店」が、こうじづくり体験の受け入れをスタート。近く一棟貸しの宿泊施設の営業も始めます。アイデアを生かし発酵食品の魅力を広める取り組みを取材しました。


■珍しい体験をスタート

スタッフ:
「ダマがあるものをつぶして」

米にこうじ菌をつけて繁殖させるこうじづくり。

参加者:
「あったかい」

職人に教わりながら作業をしているのは「こうじづくり体験」の参加者です。


受け入れを始めたのは明治19(1886)年創業の老舗・若宮糀屋。

若宮糀屋 4代目・花岡拡和社長:
「自宅でみそを造る人もかなり少なくなってきたので、こうじに触れること自体が分からない人がいっぱいいるので、こうじに触れるのはすごいシビアなものだけど、しっかり管理して体験してもらえば、すごく珍しい体験になると思っています」


みそや甘酒を手掛けてきた店。近年、新たな挑戦を始めています。

コロナ禍の2020年には「おうち時間」に楽しんでもらおうと、みその手づくりキットを販売。

■新たな取り組み「こうじづくり体験」

2023年からは偶然、生まれたとびきり甘い甘酒をサツマイモに塗って焼く「甘酒焼き芋」を販売しています。


そして、9月、始めたのがこうじづくり体験。

こちらはこうじ菌をつけた米をほぐす「手入れ」という作業です。

こうじの出来を決めるのは温度管理。発酵が進むと熱を発し温度が上がるため、均一になるよう、3日かけてほぐします。

若宮糀屋 4代目・花岡拡和社長:
「こうじが熱を持ってくるので、全体的な熱の均一化を図っている。しっかり、こうじになるようにするための作業なので、すごく重要な部分です」

素手で触ってー

参加者・齋藤聖美さん:
「うれしい。より、こうじと交流ができる」

この日、原村から参加した齋藤さん。みそやしょうゆを手づくりするなど以前から発酵食品に関心があり、SNSでこの体験を知って申し込んだそうです。

参加者・齋藤聖美さん:
「こうじ菌の発酵は、まだ自分でしたことがなくて、今回、短い時間で体験させていただけるということで、喜び勇んで申し込んだ」


ほぐし終わったら、「室蓋(むろぶた)」という木の箱に移し、さらに発酵させれば米こうじの完成です。

参加者(原村から)・齋藤聖美さん:
「直接、こうじと触れることができたのが、ものすごい私の中で喜びが生まれて、今、こうじの温かさみたいな、ほっこりした気持ちになってる」


■宿泊の営業を始める

店はもう一つ、新たな取り組みを始めます。

それは一棟貸しの宿泊施設「信州 こうじやの宿」の営業です。

若宮糀屋 若女将・花岡慶子さん:
「半分は店舗、仕立て屋だったので部屋の壁を全部壊して広い部屋の空間に。静かな空間でゆっくり過ごせるかな」

こちらの建物は築約100年。社長の母方の祖父が営んでいた元テーラーです。

20年ほど空き店舗になっていましたが、リノベーションを手掛ける大学生のサークルの力を借りて改修しました。


リビングダイニングは柱や梁を残しつつ、壁を取り払って開放的な空間に。

和室は琉球畳を使用。ふすまなどの建具には当時のものを残しました。


■「こうじ」の魅力を知って

営業は10月末から。ここに泊まって、こうじづくりを体験してもらう宿泊プランも練っています。

若宮糀屋 若女将・花岡慶子さん:
「こうじづくりを楽しんでもらいながら、ゆっくり過ごすことで自分を見つめ直して、信州や岡谷を楽しんでもらいたいという意味を込めて、宿泊施設を始めようとしています」


挑戦を続ける老舗こうじ店。

発酵食品の魅力を広めています。

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