現役を引退したJR九州の観光列車・SL人吉の蒸気機関車が4年3カ月ぶりに人吉市に戻ってきた。肥薩線沿線の八代市、球磨村、人吉市を陸路で運ばれる様子に密着した。

101歳で現役引退した人気SL

10月1日午後6時すぎ、大型トレーラーが熊本・人吉市にあるJR人吉駅隣りのスペースにやって来た。

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載っているのはSL人吉の蒸気機関車・58654号機の石炭や水を積んでいた炭水車の部分だ。

58654号機は1922年(大正11)製造で、『ハチロク』の愛称で親しまれ、JR九州の観光列車『SLあそBOY』や『SL人吉』として延べ90万人以上を乗せて走ってきた。

しかし、製造から100年を超え、2024年3月に現役を引退。人吉市に譲渡するために、9月2日にJR九州の小倉総合車両センターに運ばれ、分解作業が行われた。

球磨川沿いを走る58654号機

車体は、炭水車や運転席、動輪やボイラーに分けられ、大きな動輪やボイラーの輸送は10月1日夜から2日朝早くにかけて、福岡から熊本にやってきた。

八代市に車両がやってきたのは、2日午前3時。八代市の国道3号線には鉄道ファンも駆け付け、その様子をカメラに収めていた。

鉄道ファンは「ハチロクを見られてよかった。無事に人吉に着いてほしい」や「今まで4年3カ月の分、いっぱい良いことが起きてほしい」と話す。

そして、車両は芦北町を通り、雨が降る中、球磨村へやって来た。球磨村では58654号機が車両で運ばれながらも、4年3カ月ぶりに球磨川沿いを走っていた。

肥薩線は、2020年7月4日に起きた豪雨の影響で、今も一部区間で運休が続いていて、58654号機は『SL人吉』として、その前日まで肥薩線を走っていた。

11月18日で102歳 一般公開へ

人吉市に58654号機が帰ってくるのは4年3カ月ぶり、人吉市は10月2日から58654号機の組み立て作業を行い、102歳の誕生日を迎える11月18日から一般公開を予定している。

人吉市の松岡隼人市長は「肥薩線を走っていたSLがよく帰ってきてくれたという思いと共に、復旧復興を『けん引』していってほしい」と述べた。

人吉市は一般公開の前日の17日には、関係者を集めたお披露目式を開く予定で、今後は格納庫を整備し、圧縮空気を動力とした動態保存を検討している。

(テレビ熊本)

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