(ブルームバーグ):米銀大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする2%にインフレ率が低下するとの見方に疑問を呈し、財政赤字下での大型支出や「世界的な軍備増強の再開」といったリスクを指摘した。

地政学や量的引き締めなどの要素と関連した経済の不確実性は、まだ高いとダイモン氏は7日、経済専門局CNBCのインタビューで発言。連邦公開市場委員会(FOMC)は近く利下げに踏み切るだろうが「他の人々が思っているほど重要ではないと私は考えている」と述べた。

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO

ダイモン氏は1年余り前から、インフレが投資家の予想よりも低下しにくい可能性を警告しており、株主に宛てた4月の年次書簡で、同行では2-8%、あるいはそれより高い金利に備えていると記した。同氏は先月「多くのインフレ圧力が目の前にある」とインタビューで述べていた。

パウエルFRB議長は先週、9月にも政策金利を引き下げる可能性を示唆するにおいて、労働市場が軟化するリスクを挙げていた。そうした懸念は先週2日の7月米雇用統計で、雇用者の伸び減速と予想外の失業率上昇で裏付けられた。

ダイモン氏は先週、米紙ワシントン・ポストに寄稿し、次期米大統領は「深く分断した」国家を結束させることに注力しなければならないと述べ、経済界出身者を閣僚に起用すべきだと提言した。同氏は7日のCNBCで、どの候補者を支持するか明らかにせず、候補者の名前させ言及しなかった。次期政権で閣僚職に就くことを考えるかとの問いにも答えず「今の仕事を愛している」と語った。

ダイモン氏(68)はJPモルガンを経営して18年余り。いつまでCEOを続けるのかという疑問は、ウォール街で長くくすぶっている。

「いつかは去らなくてはならない。それは分かっている」とダイモン氏。「1年か2年、会長を務めるかもしれない。この会社を去るまで、しばらく時間がある」と7日に話した。

原題:Dimon Says He’s Skeptical Inflation Gets Back to Fed’s 2% Target(抜粋)

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