(ブルームバーグ):市場のボラティリティーが急上昇した場合、それが突然には終わらないことを歴史が示している。つまり米国株は今後数週間、さらに値動きが荒くなる可能性が高いということだ。
S&P500種株価指数のボラティリティー指標であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)は、5日に一時65.73まで急上昇。日中取引ベースで、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)最盛期だった2020年3月以来の高水準を記録した。VIXは昨年10月を最後に20を下回り続け、S&P500種を今年の大半において、狭いレンジにとどめるのに寄与していた。
ファイナンシャル・エンハンスメント・グループのテクニカルアナリスト兼ポートフォリオマネジャー、アンドルー・スラッシャー氏がまとめたデータによると、VIXが2010年と11年、15年、16年、18年、19年、20年に急上昇した際、同株価指数は短期的な大幅変動を繰り返した後で回復した。
スラッシャー氏は「ボラティリティーが急上昇した後、株価が短期的な安ど感から持ち直すにつれVIXは通常低下するが、S&P500種は短期的な安値を再度試すことが多く、最終的に底を打つまで軟調に推移する」と説明。「テクニカルな内部要因は改善しているが、それを維持できるかどうかが問題だ。しばらくボラティリティーが高止まりするかもしれない」と指摘した。
ストラテガスのETF・テクニカル戦略担当マネージング・ディレクター、トッド・ソーン氏によれば、VIXは5日の急上昇後は歴史的な高水準にとどまっているが、米経済がリセッション(景気後退)を回避している限り、S&P500種に6カ月先まで強いリターンをもたらしており、1990年以降、このスパンでの平均上昇率は12%を記録している。
しかしその道のりは平たんではない。つまり米連邦公開市場委員会(FOMC)が数十年ぶりの積極的な金融引き締めを終えようとする中、米国株は今後数週間から数カ月でさらに乱高下する可能性がある。FOMCは9月に利下げに踏み切る構えだ。
だからといって株の強気相場が終わったわけではない。
FOMCが利下げサイクルを始めようとしているなら、株の強気派は歴史を味方につけることができる。実際、CFRAのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストーバル氏の算出によれば、1980年代後半以降6回の利下げサイクルにおいて、S&P500種は最初の利下げ後、平均して年5%の上昇を記録している。しかも上昇率が著しいのは、現在のように景気が順調な時だという。
原題:VIX Flashes Bumpy Road in S&P’s Run Back to Highs: Taking Stock(抜粋)
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