日産とホンダが経営統合へ向けて協議に入ると一部報道が入った。日産とホンダが傘下に入る持ち株会社を設立し、経営資本を集中するという。経営統合となれば販売台数規模は世界3位になるが、肝心なところは業績がどう上向くか。現状の2社がたとえ経営統合したところで、どのように舵を取るのか? 速報から一歩踏み込んでお届けしよう。
文:国沢光宏/写真:NISSAN、HONDA
■「日産の大きな荷物」をホンダはどうするのか?
「ホンダが日産を傘下に置くのでは」という記事を私のWebで2024年8月20日に書いている(国沢氏の記事)。その時点で日産の発行株式の51%を買おうとすれば約8550億円。株価下がった今なら約6250億円となる。ホンダの時価総額は6兆7800億円なので、会社の価値としちゃ10分の1。
十分可能だと思う。そんなことから「ホンダが日産を買うかもしれない」という内容になった。実際、日産を救えるの、ホンダくらいしかない。 10月16日にも「ホンダが日産を買う」という記事を書いた(国沢氏の記事)。
この時は、ホンダの社内留保が10兆円あることも紹介。日産を立て直すには今後最短で3年程度5000億円規模の投資が必要ながら、ホンダであれば何とかなる。すでにホンダや日産の社員の間でもこの件は話に出る状況になっていた。
ただ日産には大きな大きな荷物がある。一般メディアなら「日産の闇」と書くような内容です。何か? 3つあると思う。一つは改革の障壁。今の日産を変えようとすれば当然ながら経営陣の刷新が必要。なかでも高給取りの皆さんにお引き取りいただくしかない。
けれどどうやら様々な契約などあり、追い出せないようなのだ。だからこそ財務をガタガタにした張本人が中国担当になったり、アメリカを失敗させた人を日産全体の財務担当にしたりするなど、理解出来ない起用になる。 二つ目は投資ファンドの存在。いわゆる「物言う株主」と言われる投資家だ。
■ホンダが不利な動きもなぜ統合を協議?
日産の発行株式のどの程度を持って居るのか不明ながら、オアシス・マネジメントは香港。エフィッシモ・キャピタル・マネージメントがシンガポールの投資ファンドであり、どちらも株価低迷している企業の株を購入し、モノを言う株主になって介入。
値上がりしたら手放して売却益を取る。この扱いが難しい。 三つ目に株価。ホンダが日産を傘下に置くとなれば、当然ながら株価は跳ね上がる。今回のニュースが流れたのは12月18日の早朝。当然ながらこの記事を公開した12月18日のマーケットが9時30分に開けば、日産の買い殺到になると思う。
日産の株価はストップ高になる可能性すらあります。本日ホンダが否定しなければ、株価はさらに上がっていく。その時点でホンダが51%を買おうとすれば高額になります。 総合して考えると、ホンダが日産を引き受けるのなら普通の経営者であれば、経営破綻してからにすると思う。
JAL(日本航空)と同じパターンです。日産の経営が立ちゆかなくなったら会社更生法を申請。認められるだろう。すると株は消失。役に立っていると思えないゴーン時代の契約で居残る高給取り経営陣の刷新も可能になる。
今回のスクープで一番得をするのは投資ファンドかもしれない。日産の株価が高くなったところで売り抜ければ損失を出さずに済む。会社更正法適用になったら大損する。
総合して考えると現段階でホンダが日産を併合するのはホンダにとって不利。日産併合が事実なら、破綻寸前の日産を引き受けゴーン氏を送り込んだルノーの如く、日本政府がホンダに依頼したのかもしれません。
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