RBC「NEWS Link」が全力で中高生のスポーツを応援するシリーズ「全力部活」。今回は、陸上競技。那覇国際高校3年の喜久里彩吹にスポットを当てる。華々しい高校デビューを果たした2022年から一転、去年はけがに苦しんだ喜久里。笑顔の大ジャンプで全国のメダルを取りに行くー

「無敵」だった2年前ー しかし次第に調子に変化が

▽那覇国際高3年 陸上競技・跳躍 喜久里彩吹
「ちょっとだけ、あの…勝ちたい勝ちたい勝ちたい、みたいなのは、苦手…苦手で、サッカーとか、チームでやろうぜみたいなのが好きなんですけど」

「あ、でも、乗りやすいというか、雰囲気にのまれやすいので、周りがすごかったら、自分もめっちゃやる気でます」

2022年、全国高校総体南九州予選、三段跳びの最終跳躍。追い風参考ながら当時の高1の日本記録(12m22)を超える12m41をマークし、1年生で全国総体で7位入賞を果たした、那覇国際3年、喜久里彩吹。

▽喜久里彩吹
「いつでも跳べるみたいな、感じでした。なんか無敵っていうか、体中にバネがみなぎっていて」「ビヨンビヨンって、バネバネでした、体中が」

華々しい高校デビューを飾ったおととし。練習の成果が結果に表れ、やる気に直結していた。しかし次第に、調子が狂い始めた。

▽喜久里彩吹
「1年生の頃と同じような感じで過ごしていても、なんか体重が増えて」
「感覚が重くなって、けがもしてしまって」

ベストを超えられず、もがき苦しんだ

成長にともなう体の変化を感じていた喜久里。2年の春には左の太もも裏を負傷した。それでも何とか調整して臨んだ去年の全国総体は…

▽喜久里彩吹
「ダメというのが(自分で分かっていて)、インターハイまでの練習で間に合っていないと。自分の中で不安であって」

幅跳びも三段跳びも、予選敗退。1年で記録したベストを越えられない。もがき苦しむ日々が続いた。

▽喜久里彩吹
「自分に対して、情けなくて悔しいみたいな。情けないっていうか、いろんな人に支えてもらってインターハイまでやってきたけど、でもどこか、全力で取り組めたかって言われたら、自信がないところがあって…」


中学の頃から喜久里を指導する後間英生(こしま・ひでき)監督は、好調も不調もあった喜久里の変化をこう振り返る。

▽後間英生監督
「高1のときは自分の力を思い切りぶつける、怖いもの知らず。すべてにおいて全力を出し切れていた。2年になって初めてけがをしたり、自分を見失う機会があったりとか、色々去年はそういうのがありました。いろんな意味で成長につながっているし、今年は1年の時よりも技術的な面を含めてかなり向上していると思います」

▽喜久里彩吹
ーきついなと思った時に自分を支えてくれたものは?
「やっぱ、勉強。勉強っていうか、学校生活ですかね」
進学校の那覇国際高校に進んだのは、勉強も陸上も両立したかったから。陸上で行き詰まっても、友人との日々が気持ちを癒してくれた。

▽友人たち
「お弁当食べているときも、彩吹はずっとしゃべっていて、1人だけ食べるの遅いみたいな」「歌うたっているときは面白いです。ラッパーだよラッパー(笑)」
▽喜久里彩吹
「Ya Ya Ya Yah!みたいな(笑)…Awichが好きなんですよ、それで髪をめっちゃ伸ばしているんですけど、あきらめて、きょう切ります!」

「勉強だけだったら心が辛いし、陸上だけでも、将来陸上で生きていくって大変なことだから、自分には陸上だけじゃない、って。そういうのも結構大きかったかなと思います」

「最後に良い結果を残したい」

大学では経営学を学びたいという喜久里はある決断をしている。

▽喜久里彩吹
「スパっ、て辞めたいです」
「一旦インターハイでしめたいなと思っています。だからこそ最後にいい結果を残して悔いなく終われるように」
「上位に残ってメダルを取って、いろんな人に恩返しできるように頑張りたいです」

最後の夏に向かう喜久里は、体重を絞り、ウエイトトレーニングを増やして体づくりを強化。助走距離を伸ばすなど、跳躍技術も見直した。

▽喜久里彩吹 「もうちょっと(助走を)刻めるかな、ちょっと遅かったです」
▽後間英生監督「うん、遅い」
▽喜久里彩吹 「タララララ、ってちょっと抜ける感じですよね」「よし、切り替え」
▽後間英生監督「もう1本!」

中学時代から、細かいメニューは監督ではなく自分自身で決めてきた喜久里。
練習ノートやタブレットには、その意図や方法が細かく記載されている。

▽喜久里彩吹
「自分で何が足りないか考える力とか、何をしたいか分析する力は陸上でついたかなと思います。格好よく言うと(笑)」

最後の夏を前に県記録を更新 自信を取り戻した

試行錯誤の成果は着実に結果に出始めている。
沖縄選手権の前日、跳躍に手ごたえを感じていた。

▽喜久里彩吹
「おお、良いかもしれない」
「今までやってきたことが無意識にできるようになっている感じです」
「いけそう、いけそうです。頑張ります!」

翌日の沖縄選手権、走り幅跳びに出場した喜久里は、20年間破られることなかった沖縄県記録を更新した。5m94㎝の大ジャンプだった。

▽喜久里彩吹
「最低でも(全国の)決勝に残って、6mを幅跳びで跳んで、三段では12m40ぐらい跳べるように、そしてメダルが取れるように頑張りたいです」

県記録ホルダーとなり、高い目標を掲げた喜久里。インタビュー終了後には素の表情を見せてくれた。

▽喜久里彩吹
「ありがとうございました。やばい、めっちゃ(ちゃんと)答えられてませんでした?」
ー1年生のときより?
「はい。ちょっと成長したなあと思ったんですけど(笑)」

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(取材後記:RBCリポーター 下地麗子)
天真爛漫な笑顔が印象的な喜久里選手ですが、体重調整のために小麦類やお菓子を
制限するなど陰ながらの努力を続け、最後の夏に向けて調子を上げてきました。沖縄跳躍界の歴史を塗り替える大ジャンプを心に誓っています。

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