大谷翔平(29)のドジャース初シーズンは好調スタートとなった。4月終了時点で打率.336(6位)、本塁打7本(5位タイ)、19打点(11位タイ)と主軸として申し分のない活躍となり、チームはナショナルリーグ西地区で2位ジャイアンツに4ゲーム差をつけ、首位に立つ。導き出したのは入団以来、信頼を寄せるデーブ・ロバーツ監督(51)の起用や手腕も大きい。4月27日には因縁あるブルージェイズのファンからの大ブーイングの中、1回に7号先制ソロを放って見せた。これまでドジャース球団の日本出身選手としての最多本塁打は、実は沖縄県那覇市生まれのロバーツ監督自身の7本だったが、大谷はこの日の一発で指揮官の記録に並んだ。ロバーツ監督は大谷の本塁打について「ドジャースのファンにとって、これ以上のことはないだろう。たくさんのブーイングに迎えられて、そして初打席でホームランを打ったんだから。あの歓迎(ブーイング)には驚いたよ」と振り返っていた。本塁打で大谷に並ばれ「あなたもブーイングしましたか?」と聞かれると「私は彼にブーイングしていない。でも彼は私に『並んだぞ』と言ってきた」と報道陣を笑わせていた。「僕がグラウンドで翔平と並ぶかリードしていたのはこの試合だけだと思う。それは短命に終わりそうだけどね」と笑顔をみせ、「でも僕は幸せだよ。わかるかい?翔平は楽しんでるんだ。彼は試合を楽しんでいると思うし、チームメイトと楽しんでいる」と話した。

記憶に残る名選手は今や名将に

デーブ・ロバーツ(デビッド・レイ・ロバーツ)氏はアメリカ人の父と日本人の母(栄子さん)を持ち、1972年5月31日沖縄県那覇市で生まれた。初の日本出身MLB監督である。UCLA卒業後、選手としてのキャリアは1994年タイガースにドラフト入団後(ドラフト28位)、インディアンス (1999-2001)でメジャーデビューを果たし、ドジャース (2002-04)、レッドソックス (2004)、パドレス (2005-06)、ジャイアンツ (2007-08) でと10 年間に渡り、活躍した。俊足が武器であり、左投げ・左打ちの好守、巧打の外野手として大いにスタジアムを沸かせる選手であった。2004年のレッドソックス時代にはヤンキースとのリーグ優勝決定戦で、チームを逆転優勝へ導く伝説の盗塁を決める。シリーズ開幕3連敗かつ1点ビハインドの9回ツーアウト、マウンドには守護神マリアーノ・リベラ投手という崖っぷち。その時、1塁代走に入ったロバーツが盗塁を決める。その流れで同点打が生まれ、自ら同点のホームイン。その後、チームは逆転勝利し、4連勝でリーグ優勝を決めるとワールドシリーズも4連勝で制するプレーオフ8連勝となった。伝説の始まりとなった「デーブ・ロバーツ」の勇敢な盗塁はMLBファンの記憶に刻まれている。2016年シーズンからドジャース監督を務め、同年にナショナルリーグの最優秀監督、2020年にはチームをワールドシリーズ制覇に導いた。ドジャース黄金時代を築き上げつつある名将となっている。

日本人メジャーリーガーに深い縁

チームメイトとして、野茂英雄(ドジャース)を好守で救う場面やこれまでも石井一久(ドジャース)や中村紀洋(ドジャース)との交流もあった。監督としてはメジャー初挑戦だった前田健太(ドジャース)を臆することなく起用し、開花に導いている。

2018年「ジャパンナイト」で始球式を務めた母親の栄子(左)さんと共にマウンドを降りるロバーツ監督

今シーズンも開幕していきなりの元通訳スキャンダルへもメディアにコメントを発信し、大谷選手を擁護してきた。一流軍団をまとめ上げ、かつ、結果を残すロバーツ監督のコミュニケーション能力とそのコメントには今後も注目していきたい。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。