年の瀬が迫る中、パ・リーグ新人王に輝いた西武の武内夏暉(23)が福岡県の北九州市にある母校・折尾愛真中学校を訪れた。

母校への凱旋とあってやや緊張した表情で後輩の元を訪れた武内、「こんにちは」と第一声をかけても後輩は驚いて無反応、これには「カメラもいるし、サプライズじゃないじゃん」とようやく緊張がほぐれて笑顔を見せた。

昨年のドラフト会議で西武、ソフトバンク、ヤクルトの3球団が競合の末、西武にドラフト1位で入団。プロ初先発となった4月3日のオリックス戦で7回1安打無失点の好投をみせ、初登板でプロ初勝利を手にした。今季は21試合に登板し規定投球回に到達、10勝6敗、防御率2.17(リーグ2位)。パ・リーグの新人王を獲得した。

「去年も年末に来たので約1年ぶりです」という武内は「いつも最初に向かうのは安部多加弘監督の所」とまず職員室を訪ねた。「新人王おめでとう、1年間お疲れ様でした」と温かい言葉をかけたのは野球部の安部多加弘監督だ。小学5年時に左肘を痛めた武内が中学時代に投手として一度も投げられず、野手に専念した3年間「人間的に成長させてくれた」という恩師が出迎えてくれた。「試合の様子はいつもテレビで見ていて、すごく頼もしくなっていたけど顔つきが変わっていなくてホッとした」と久しぶりの再会を果たした。

自身の野球人生の出発点に錦を飾る思いで凱旋した武内だったが、逆にサプライズ尽くしの一日となった。まずは校長先生の計らいで用意された新人王祝いの特大ケーキがプレゼント。実はこのケーキ、小学校時代、少年野球チーム(東筑ファイターズ)で一緒にプレーしていた同級生がパティシエとなって作ってくれたという。「友達が作ってくれたケーキは嬉しいです」と誕生日以来となる特大のショートケーキを野球部員と分け合って食べた。

徐々に打ち解け始めた部員たちは「サインください」「WBCにも出てください」「今度ご飯行きましょう」と次々に武内に言葉をかけ、さらには「武内さん好きです」とまさかの“愛の告白”も飛び出し、これに本人は「それが一番嬉しい」とご満悦。

さらにサプライズは続き、中学時代3年間汗を流したグラウンドへ向かうと、“祝 新人王”と記された横断幕が。その大きな横断幕を目にした武内は「びっくりしたー」と驚きの表情をみせ「めちゃめちゃ嬉しいし今日サプライズありすぎてやばいです」と満面の笑みだった。

この日の締めは「プロになって初めてだと思います」と野球部員達と約2時間、ウォーミングアップやキャッチボールで汗を流した。「たくさんのサプライズがあって本当に嬉しかったです」と充実の1日を振り返り「野球部員たちは本当に元気ですし、自分自身も力をもらったのでより一層頑張りたい」と来季プロ2年目を迎える23歳、プロの世界では“2年目のジンクス”と言われるが、武内は原点回帰で気持ちを引き締めた。

■武内夏暉(たけうち・なつき)
2001年7月21日生まれ。186センチ、95キロ 。左投げ左打ち。福岡県北九州市八幡西区出身。折尾愛真中~福岡県立八幡南高〜国学院大を経てドラフト1位で西武ライオンズに入団。4月3日にプロ初登板で初勝利を挙げた。

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