11月に突入して、今年も残すところあと2か月。年末年始に花園ラグビー場(東大阪市)で行われる「全国高校ラグビー大会」の代表校を決定する各地区大会も佳境を迎えてきました。聖地“HANAZONO”へ。1日(金)には沖縄で、2日(土)には福島と佐賀で、3日(日)、4日(月・振休)には石川、長野、富山、福井、三重、島根、千葉でそれぞれ決勝戦が行われて代表校が決定しました。

沖縄大会 長年のライバル「名護」と「コザ」が激突!

 11月1日(金)に行われた沖縄大会決勝は、名護とコザ。長年、沖縄県の高校ラグビーをリードしてきたライバルによる3年連続の顔合わせとなりました。

 前半は、3年連続の全国大会出場を狙う名護が先にペースをつかみます。立ち上がりから一人一人が当たりの強さをみせてしっかり前に出ると、開始3分には、コザのゴールラインまで5m付近のラインアウトからモールをつくって一気に押し込みます。最後はバックス陣も加わって右隅にトライ、ゴールも決めて7点をリードしました。

 一方、FW陣が巧みに絡んでくる名護のディフェンスの前にスピードある攻撃が封じられて、なかなか敵陣に入ることができなったコザ。それでも10分過ぎから風上をいかしたキックを使って、ようやく名護陣内に攻め込みます。しかし、大事なところでミスが出て得点に結びつけることができません。19分には、ゴールまで30m付近からペナルティゴールを狙いますが、惜しくも左に外れてゴールならず。チャンスを逃してしまいます。

 逆に名護は21分、コザのミスを突いて得点に結びつけます。相手ボールのラインアウトをキャッチしたSH石嶺結翔選手が、そのままひとりで20m以上を走り切ってトライ。12対0とリードして前半を折り返しました。

名護・平安山キャプテン「沖縄県勢がまだ成し遂げていないベスト8を目指す」

 後半に入っても名護の勢いはとまりません。コザの懸命の反撃を、規律のとれた分厚いディフェンスで跳ね返すと、風上を生かしたキックを上手く使って敵陣深くに攻め込みます。そして後半6分、ラインアウトからのモールをしっかりと押し込んでトライ。17対0として勝負の流れを決定づけました。

 その後も平均体重で5kg近く上回るFW陣の安定したセットプレーを軸に、最後までコザに主導権を渡さなかった名護。35対0の完勝でコザを下して3年連続22回目の全国大会出場を決めました。

 キャプテンの平安山結丸選手が、「花園では沖縄県勢がまだ成し遂げていないベスト8を目指して、ここからさらに頑張っていきたい」と力強く宣言した名護。今後の進化に注目です。

福島大会 「松韻福島」と「聖光学院」の試合は悪天候の中でも熱戦に

 11月2日(土)、全国的な悪天候の中、福島と佐賀で行われた決勝戦は、厳しいコンディションをものともしない熱戦となりました。

 福島大会決勝は、前回大会に続く2年連続の花園出場を目指す松韻福島と、その松韻福島に前回大会準決勝で5点差で敗れた悔しさを胸に厳しい練習を乗り越えてこの舞台まで勝ち進んできた聖光学院の対戦。

 雨でボールが滑りやすい難しいコンディション。両チームが慎重なゲーム運びを見せる中で、先に仕掛けたのは聖光学院でした。

 前半3分、ラインアウトからのボールを受けたSO越川隆太選手が、ハーフウェイライン付近から思い切って仕掛けます。ディフェンスのギャップをついてうまく裏に抜け出すと、そのまま鮮やかなステップで待ち受けるディフェンスをかわしてトライ。ゴールも決めて7点をリードします。さらに25分、またしてもラインアウトから素早くボールを動かして得点に結びつけます。今度は、一瞬のスピードでディフェンスをかわしたキャプテンのCTB木村倭選手が切れ味抜群の走りを見せて、敵陣10mライン付近から40m近くを一気に走り切りました。ゴールも決めて14対0、前半は持ち味である積極的にボールを動かすラグビーを貫いた聖光学院がリードして折り返します。

聖光学院・木村キャプテン「福島県の選手全員の気持ちを背負って戦ってきたい」

 一方、FW陣の前に出る圧力と一体となったモール攻撃が自慢の松韻福島。後半に入ると、得意のモール攻撃を軸に、何度も聖光学院陣内深くまで攻め込みます。しかし、聖光学院の粘り強いディフェンスの前に、大事なところでミスが出てなかなか得点につなげることができません。試合終了間際にも、20m以上モールを押し込んでこだわってきた形からのトライを狙いますが、聖光学院のゴールライン直前で痛恨の反則。絶好のチャンスを逃してしまいました。

 ピンチをしのいだ聖光学院が、この後ボールを蹴り出してノーサイド。最後まで集中力を切らさず、松韻福島の執拗なモール攻撃をしのぎ切った聖光学院が14対0で逃げ切って、6年ぶり2回目の花園への切符を手にしました。

 試合後「(花園では)福島県の選手全員の気持ちを背負って戦ってきたい」と語った聖光学院の木村キャプテン。松韻福島の想いも胸に聖地での戦いに挑みます。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。