年末年始に、東大阪市の花園ラグビー場で行われる全国高校ラグビー大会。今年も、憧れの“HANAZONO”を目指して、全国各地で熱戦が展開されています。先週末には、新潟、青森、秋田で決勝戦が行われて、各地区の代表校が決定しました。
▼新潟県大会 前回王者の「北越」と雪辱を期す「開志国際」
10月26日(土)、長岡市の長岡ニュータウン運動公園で行われた新潟県大会決勝は、前回大会の覇者・北越と去年3点差で敗れた悔しさをバネに、この試合での雪辱を期す開志国際の2年連続の顔合わせとなりました。
立ち上がりは、連覇を狙う北越が自慢の強力FWを前面に先にペースを使います。得意のモールを押し込んで、何度も開志国際のゴールラインに迫ります。しかし、開志国際の激しいタックルと接点での絡みの前に、大事なところでボールが手につかず、なかなか得点に結びつけることができません。
序盤のピンチをしのいだ開志国際、相手のペナルティーを誘って敵陣に侵入すると、15分過ぎからは突破力のあるフィジーからの留学生、マイカ・ダヴェタ選手を使って敵陣インゴールに迫ります。そして18分、FW陣が一体となったスクラムで、相手ボールを奪ってマイボールにすると、安定したスクラムから攻撃を展開して最後はラックサイドを素早くついたSH室伏勘太選手が先制のトライ。ゴールも決めて7点をリードします。開志国際は、前半終了間際にも1トライを追加、12対0とリードして前半を折り返しました。
一方、前半は敵陣深くまで攻め込みながらも、スクラムやラインアウトといったセットプレーが安定せず、なかなか得点につなげることができなかった北越。後半15分にようやくチャンスをものにします。粘り強くボールを継続すると愚直に縦への連続攻撃を繰り返して、ついに開志国際のディフェンスをこじ開けます。ゴールも決めて12対7と5点差に迫りました。
▼相手の追い上げにも選手たちは冷静…開志国際が去年の雪辱晴らす
ワンチャンスで逆転可能な点差に追い上げられた開志国際。しかし選手たちは冷静でした。その直後のキックオフ、積み重ねてきた練習に裏付けられたビッグプレーで試合の流れを引き戻します。
CTB遠藤夏輝選手の滞空時間の長いキックにFL塚越陽選手が鋭く反応してそのままキャッチすると、素早く出されたボールを受けたダヴェタ選手が、タックルを引きずりながら右中間にトライ。キャプテンの村山楓選手が「これまでで一番のプレー」と振り返った値千金のトライで再び北越を突き放しました。
これで完全に勢いを取り戻した開志国際。その後は、北越を寄せつけませんでした。風上を上手く利用して落ちついて敵陣で試合を進めると、23分にはモールを押し込んで決定的なトライ。さらに2つのトライを加えて38対7で北越に勝利。見事に去年の雪辱を果たして2大会ぶり4回目の花園への出場を決めました。
▼青森県大会 6連覇を狙う「青森山田」と名門との激闘を制した「三本木農業恵拓」
翌日の10月27日(日)、新青森県総合運動公園球技場で行われた青森県大会決勝は、6連覇を狙う青森山田と、準決勝で名門・青森北との激闘を制して決勝の舞台に進んできた三本木農業恵拓が対戦しました。
FW、BKともにスピードある選手を揃えて、テンポの早い攻撃力が武器の青森山田と鍛え上げてきたフィジカルの下、縦への推進力が自慢の三本木農業恵拓の対戦。
ここ数年、県内では圧倒的な強さを誇る青森山田に対して、序盤は三本木農業恵拓が互角に渡り合います。ボールをキープしてグラウンドを広く使ってくる青森山田に対して縦に強い選手が上手く体をあてて、攻撃のリズムをつくらせません。
しかし10分過ぎ、ペナルティーからピンチを招いてしまいます。プレッシャーをかける際、ディフェンスの連携が乱れてオフサイドの反則。ゴール中央22mライン付近の絶好の位置で相手にボールを与えてしまいます。このチャンスに青森山田は、PGを狙わずにタッチキックを選択。敵陣深くのラインアウトからトライを狙いに行きます。そして13分、グラウンドを大きく使った後、最後は素早いリスタートからFB小泉琉心選手が右隅にトライ、5点を先制しました。高校日本代表にも選出されたトンガからの留学生アホ・アントニオ選手の強烈な突破を粘り強いディフェンスで防いでいた三本木農業恵拓ですが、最後は早いテンポの攻撃に対応できませんでした。
このトライで本来の動き取り戻した青森山田、橋本高行監督が「今日は、スクラムが試合の流れを引き寄せてくれた」と振り返ったように、23分にはスクラムを押し込んだ後のスピードある攻撃で追加点を奪います。スクラムをコントロールして、FW陣のカバーディフェンスを遅らせると、うまくディフェンスのギャップをついたCTB佐々木悠汰選手からタリ・テビタ選手とつないで中央にトライ、12対0とリードして前半を折り返しました。
▼後半も止まらぬ勢い…青森山田が6連覇を決める
後半に入っても、青森山田の勢いは止まりません。後半開始のキックオフ、ボールをキャッチした澤田時光選手が一瞬のスピードでディフェンスを置き去りにすると、フォローしたアホ・アントニオ選手が、タックルを振り切る豪快な突破をみせて50メートル以上をひとりで走りきってトライ。19対0として試合の流れを決定づけました。
三本木農業恵拓も、後半11分に得意のモールを押し込んで1トライを返しますが、反撃もここまで。その後も着実に得点を加えた青森山田が、52対5で三本木農業恵拓を下して6大会連続6回目の全国大会出場を手にしました。
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