優秀な先発完投型の投手に贈られる最高の名誉「沢村賞」の選考委員会が28日、都内で行われ、2019年以来5年ぶりに該当者なしとなった。

会見に出席した堀内恒夫選考委員長は「基本的には誰か1人ベストピッチャーを選びたい」とした上で「これほど投高打低という時代に、数字を見てますと誰か1人に絞るということは非常に難しく」と選考が難航したことを明かした。

選考基準は「25登板以上」「10完投以上」「15勝以上」「勝率6割以上」「200投球回以上」「150奪三振以上」「防御率2.50以下」の7項目。最終候補には戸郷翔征(24、巨人)と有原航平(32、ソフトバンク)が挙がったという。戸郷は今季26登板、12勝、4完投、156奪三振、勝率.600、180投球回、防御率1.95で、選考基準の7項目のうち4項目をクリア。有原は、26登板、14勝、3完投、勝率.667、182.2投球回、137奪三振、防御率2.36で2項目をクリアした。

そのほかにも菅野智之(35、巨人)、伊藤大海(27、日本ハム)、東克樹(28、DeNA)らの名前が挙がったが「もうちょっと成績が上がって欲しかった」と苦言を呈した。「全く甲乙つけがたいというか、こちらが良ければこっちが駄目だとかこっちがよければこっちが駄目だっていうようなもので、最後は比べながら落としていく消去法をやったんですけどそれでも最後の1人が絞りきれなかった」。

故沢村栄治氏を称える賞だけに「敬意のある大事な章にして、皆さんが沢村賞を取りたいというふうな希望に満ちたような賞にしたい」とし、「無理して選ぶ必要はない」と判断を下した。

今回6度目の“該当者なし”となり、選考基準は「少しずつ手を加えていく必要がある」と堀内委員長。投手の分業制が進み、“200投球回“と“10完投”のクリアが厳しくなったことを受け、「本当は変えたくないんですけどやっぱり数字が出てこない。時期を見てそういう話し合いになる可能性はあります」と選考基準の変更も視野に入れた。

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