サッカー女子日本代表・なでしこジャパンは、26日にパリ五輪後初の国際親善試合、国立競技場でおこなわれる韓国戦に臨む。2011年W杯世界一メンバーでチーム最年長の熊谷紗希(34、ローマ)に、試合の注目ポイント、なでしこジャパンのあるべき姿などを聞いた。
Q.パリオリンピック™(アメリカに延長の末、準々決勝敗退)を振り返って?
熊谷紗希:本当にすごく悔しい結果で、優勝を目指して五輪を戦っていて、やっぱりベスト8の壁が大きかったですし、ここ数大会、世界大会であそこ(準々決勝)で勝ててないっていう現状があって、とかいろいろありましたけど。出し切った大会でもあったかなというか、チームとしてやれることはやったかなという大会でもあったので、そこに関してはやっぱ結果は悔しいですし、まだまだやっぱり足りないものがあったんだなっていうところは受け止める中で、それでもあのチームで戦えたことはすごく嬉しかったですね。
Q.ベスト8の壁を超えるため、世界一になるために必要なものは?
熊谷:ここでたぶん自分が明確に言えていたら、(世界一に)なれているんでしょうけど。本当に、そこまであの大会(パリ五輪)に入って大きな差はないなっていうのが正直なところあって、自分たちのアメリカ戦(準々決勝)も延長で、他の試合を見てもPKだったり、すごくきっ抗した試合がほとんどで。決勝トーナメントに入ってからは特に。アメリカが優勝してっていうところで、アメリカとやっていても、もちろん結果は負け、そして悔しいっていう気持ちはあるんですけど、このチームに勝てないなとは思っていない。
でもボックスの中でどれだけ攻守共に仕事ができるかっていうところは日本の課題でもあり、これがやっぱり世界との差なのかなっていうところがある。「スコアにする」「ゴールを守る」っていう、本当に当たり前のことですけど、過程だけじゃなく、そこにフォーカスして、どれだけ結果を出せるかっていうところが、これから世界で勝っていくために重要になってくるのかなと。分かってなかったわけじゃないですけど、もちろん。改めて思いましたね。
Q.そのためには個々のレベルアップが必要?
熊谷:個々がレベルアップすればチームもレベルアップするとは思うので。そのレベルアップが一番チームの勝利に近づくのかなとは思っているんで。個々のレベルアップっていうのも絶対必要なものかなと思います。
Q.今回、20歳以下が7人招集された。若手が多く入っている状況をどう見ている?
熊谷:すごくいいことだと思いますし、フレッシュさだったり新鮮なところがチームにいい影響を与えているとも思います。これから代表として次の世界大会とかを目指していく中で絶対必要になってくる力だと思いますし。なので本当にすごく必要な力だと思うし、頼もしいですね。
Q.佐々木則夫監督代行が、なでしこの「イズム」を若手に伝えてほしいと言っていたが、若手に伝える時に意識していることは?
熊谷:特別意識をしてることはないですけど、自分が普段やってきている部分と、そして、もちろん自分の経験は絶対に伝えられると思うので、そういった意味で伝えられることは伝えていきたいなと思います。逆に本当に、若手の選手って言ったらあれですけど、向こう側からもどう思ってるのか聞きたいところはあって、自分から伝えるだけじゃなく、双方でしっかり話し合いながら、いいコミュニケーションが取れたらなと思っています。
Q.谷川(萌々子)選手は「パリ五輪の時に紗希さんがなでしこで戦う責任を共有してくれて大会に対する思いがより強まった」と言っていた。
熊谷:え?そうなの?ありがとうございます(笑)私自身も意識して伝えなきゃっていうよりは、言うべきだなと思って言っているんで。でもそれが本当に若い選手たちに、今少しでもそういった責任だったり、ここで戦う意味っていうところが、別に強要というかそれが正解だとかは思わないですけど、こういう気持ちで戦ってるっていうことさえ伝わっていればそれでいいのかなと思いますけど。
Q.熊谷さんにとって、なでしこのイズムとは?
熊谷:ん-、難しいですよね…ノリさん(佐々木則夫監督代行)も難しい言葉使ったなと思って。いやぁ、なでしこのイズム…
Q.佐々木則夫監督代行は「攻守において連係連動する」と
熊谷:なるほど。この合宿のミーティングでも、ノリさんは私達に伝えてくれてて、もちろんそういったところもありますけど。そういったサッカーの部分はもちろんですけど、やっぱこの場所(日本代表)って、みんなが目指す場所じゃなきゃいけないと思うし、日本を代表してっていう責任はすごくある場所だと思っているので、本当に結果にこだわったりとか、結果を出さなきゃいけない場所であるってことは思ってて。その中でもちろん、ノリさんのおっしゃる、攻守にアクションして、とかあると思いますけど、何よりも、やっぱり勝つために本当に全てをかけるというか、全力を尽くす、本当に当たり前のことですけど、それができる選手の集まる場所というか、やらなきゃいけない場所かなとは思うので。やっぱり先輩方も含めて、そういった選手たちが集まってきて、ここまで世界と戦ってきてっていうところがあるので。中途半端なことをする選手とかはいないですけど、いい意味での厳しさを持って、そういったイズムというのか、そういった厳しさはしっかり伝えていきたいなと思ってます。
Q.26日の韓国戦、どこに注目してほしい?
熊谷:個人としてはもちろん、自分自身の持ち味である守備のところでのデュエル(1対1で争っている状況)というか戦いのところで相手に負けないところ、そしてチーム全体のバランスを見てのラインコントロール、そこはすごく今回、特に見せたいというか、自分自身が意識してやりたいところではある。今回ノリさんが監督になって「こういう戦い方をトライしよう」っていうことは、実際言われていて、そこですごく大切になってくるのがラインコントロールになるかなって思うので、そこは本当に声をかけながら、もしかしたらエラーもあるかもしれないですけど、今まで以上に意識してしっかりコントロールしていきたいなと思ってます。
Q.この試合でどういう戦い方にトライしようとしている?
熊谷:本当にアグレッシブにボールを奪いにいく守備をする。これが今、自分たちがこの試合でトライをしたい部分なので、90分全部できるかとか、相手を見て戦わなきゃいけない部分は確実にあると思うんですけど、そこはやっぱり、自分たちがトライすべきだと思うので、しっかりトライしていきたいなと思ってます。
Q.今後なでしこが目標としていくところは?
熊谷:それはもう世界一。奪還という言い方なのか、もう一度という言い方なのか。でもやっぱ世界で勝つことが目標で、世界で優勝することが目標ということは間違いないんで。本当にそうですね。もう世界一になるっていうところが、なでしこの目標になるところ、ずっとブレないところなのかなと思います。
【招集メンバー】 10月25日時点
■GK
山下杏也加(29、マンチェスター・シティ/イングランド)
大熊茜(20、INAC神戸レオネッサ)※初
※平尾知佳コンディション不良により離脱
■DF
熊谷紗希(34、ローマ/イタリア)
守屋都弥(28、INAC神戸レオネッサ)
北川ひかる(27、ヘッケン/スウェーデン)
遠藤優(26、三菱重工浦和レッズレディース)※初
南萌華(25、ローマ/イタリア)
石川璃音(21、三菱重工浦和レッズレディース)
小山史乃観(19、ユールゴーデン/スウェーデン)
古賀塔子(18、フェイエノールト/オランダ)
■MF
清家貴子(28、ブライトン/イングランド)
長谷川唯(27、マンチェスター・シティ/イングランド)
長野風花(25、リバプール/イングランド)
中嶋淑乃(25、サンフレッチェ広島レジーナ)
藤野あおば(20、マンチェスター・シティ/イングランド)
浜野まいか(20、 チェルシー/イングランド)
谷川萌々子(19、ローゼンゴード/スウェーデン)
■FW
田中美南(30、ユタ・ロイヤルズ/アメリカ)
塩越柚歩(26、三菱重工浦和レッズレディース)※上野真実コンディション不良により追加招集
千葉玲海菜(25、フランクフルト/ドイツ)
植木理子(25、ウェストハム/イングランド)
松窪真心(20、ノースカロライナ・カレッジ/アメリカ)※初
【MIZUHO BLUE DREAM MATCH 2024】
10月26日(土) 14:20 日本vs韓国(国立競技場)
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