FC大阪に勝ち、喜ぶ桃山学院大学の選手ら(北川信行撮影)

20日に大阪府堺市の堺市立サッカー・ナショナルトレーニングセンター(J-GREEN堺)で行われた第29回大阪サッカー選手権大会(産経新聞社共催)の準決勝で、桃山学院大学と関西大学がJ3のFC大阪と日本フットボールリーグ(JFL)のティアモ枚方をともに3-2のスコアで下し、決勝に進出した。同大会は第104回天皇杯全日本選手権大会の大阪府代表決定戦を兼ねており、大学のチーム同士で天皇杯出場が懸かった決勝を戦うのは、2013年以来11年ぶり。関西の大学サッカーのレベル向上を示す結果と言えそうだ。

拮抗(きっこう)したリーグで切磋琢磨(せっさたくま)

ティアモ枚方に勝ち、ベンチに引き揚げる関西大学の選手ら(北川信行撮影)

昨年に関西学生リーグの1部から2部に降格した桃山学院大学はFC大阪に押し込められながらも粘り強く戦い、前半38分にガンバ大阪ユース出身のMF永川寛太がドリブルで持ち込んで先制すると、同42分にもサイドチェンジからMF村上愛和(東海大付福岡高)が決めて追加点。1点差とされた後半28分にセレッソ大阪U-18から進学したFW安岡佳毅が落ち着いて相手GKとの1対1を制した。その後は身体能力に勝るFC大阪の猛反攻に遭ったが、最後までリードを守り抜いた。

大会3連覇を狙う関西大学は後半4、6分に京都サンガU-18から加わったMF川島功奨が連続ゴール。同8分にはMF村井天(福岡・嶋田学園飯塚高)がチームの3点目を奪った。その後はティアモ枚方に攻め込まれて2点を失ったが、こちらも体を張った守りで白星を手繰り寄せた。

桃山学院大学の松本直也監督は「相手はプロのFC大阪。格上だが、スカウティングもした中で、プレッシングを前から掛け、サイドで仕掛ける自分たちのサッカーができた。昨年に(関西学生リーグの)2部に降格して悔しい思いをした選手らが発奮してくれた」と選手をたたえた。一方、FC大阪の大嶽直人監督は「(敗戦を)受け止めて次の成長に生かさないといけない。若い相手の勢いに負けてしまった」と振り返った。

また、「後半に3点を奪ってから受け身になってしまった」と試合運びの課題を真っ先に挙げた関西大学の前田雅文監督は「ぜひとも3連覇を達成したい。大学もJFLもJリーグのチームもいる大会を突破できるのは自信になるし、誇りになる」と言葉に力を込めた。

兵庫も大学対決、京都、滋賀も大学が代表となるか

試合終了間際、パワープレーを仕掛けたFC大阪の攻撃を必死に守る桃山学院大学の選手ら(北川信行撮影)

自身も滋賀・野洲高から関西大学を経てガンバ大阪入りした元Jリーガーの前田監督は「(決勝で対戦する)桃山学院大学以外にも(大阪体育大学や大阪学院大学、大阪経済大学、阪南大学など)強豪大学がいくつもある。(J3の)FC大阪や(JFLの)ティアモ枚方が相手でも、絶対に勝てないということはないほど関西の大学サッカーは拮抗している」と話す。

実際、兵庫県代表決定戦の第27回兵庫県サッカー選手権大会も、甲南大学と関西学院大学が関西サッカーリーグ1部の「Cento Cuore HARIMA(チェント・クオーレ・ハリマ)」と「FC BASARA HYOGO」を下して決勝に進出。京都府では京都産業大学、滋賀県ではびわこ成蹊スポーツ大学が天皇杯出場に王手をかけている。滋賀県が5月11日、兵庫県と京都府は大阪府と同じ12日に決勝が行われ、代表が決定する。

Jクラブのアカデミー出身者が活躍

関西の大学は全国レベルの大会でも活躍が目立っており、昨年12月の第72回全日本大学サッカー選手権大会では京都産業大学が準優勝(優勝は明治大学)。同9月の第47回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントでも関西学院大学が準優勝している(優勝は富士大学)。

前田監督が指摘した通り、拮抗したリーグで切磋琢磨していることなどが関西の大学リーグ全体のレベル向上につながっているのに加え、ガンバ大阪やセレッソ大阪といったJ1クラブのアカデミー(育成組織)出身選手が地元関西の大学に進学するようになっているのも活性化の理由のように思われる。

プロを目指す組織でトレーニングを積んできたアカデミー出身の選手の特徴は足元の技術が高いこと。実際、FC大阪、ティアモ枚方を破った桃山学院大学と関西大学にもそういった選手が何人かいた。

天皇杯の本大会は5月25、26日に1回戦が行われ、6月12日の2回戦からJ1、J2勢が登場する。もしかしたら、関西の大学から〝ジャイアントキリング〟で旋風を巻き起こすチームが現れるかもしれない。

(サンケイスポーツ編集委員)

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