開場100周年の甲子園球場で行われた夏の全国高校野球大会決勝は、東東京の関東第一と京都国際の顔ぶれとなり、春夏通じて初めての新旧“都”対決となったが、史上初の延長タイブレークで決着、京都国際が初優勝を飾り、京都勢としては68年ぶりに全国の頂点に立った。

京都国際には韓国・尹錫悦大統領もエール

甲子園から遠く離れた各地に設置されたパブリックビューイング会場からも両ナインへの声援が響き渡った。

小池都知事も都庁展望室で応援
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東京の“星”が出場する注目の決勝。
野球少年たちとともに、都庁展望室で小池百合子都知事も声援を送った。

一方、在日韓国人向けに開校した学校を前身とする京都国際には海を越えて、韓国の尹錫悦大統領もエールを送った。

京都国際には韓国・尹錫悦大統領もエール

韓国・尹錫悦大統領フェイスブックより:
皆さんの闘志と情熱に拍手を送ります。学生数が159人しかいない京都国際が決勝戦に進出したのは、本当にすごいことです。

試合は熾烈な投手戦に 両チームの応援も注目集める

関東第一は、150km/hを超えるストレートが武器のエース・坂井遼(はる)投手を中心とした強力な投手陣で勝ち上がり、対する京都国際は、中崎琉生(るい)投手と西村一毅(いっき)投手のサウスポー2枚看板でこの決勝の舞台にたどり着いた。

そして迎えた決勝でも、両チームのピッチャーが躍動、熾烈(しれつ)な投手戦となった。
互いにランナーを出しても堅い守備で得点を与えず、投手陣も相手打戦にあと1本を許さない。

そして注目を集めたのは、両チームの応援だ。

関東第一は世界大会2位のチアリーディング部が応援

関東第一は世界大会2位の実力を誇るチアリーリング部が、3回戦以来の登場となった。

ブラスバンドが奏でる『西部警察』のテーマや『必殺仕事人』の音楽に乗り、キレッキレのダンスで選手たちを後押しした。

関東第一の地元・新小岩では応援ランチも登場

さらに関東第一の地元・東京の新小岩では、ビッグな鶏とビクトリーをかけた応援ランチを提供する店のほか、地元商店街でテレビ越しに声援を送った。

決勝戦史上初の延長タイブレークで決着

試合は0 - 0のまま、9回裏へ。
関東第一が、京都国際のエース・中崎投手を攻め立て、2アウト満塁、サヨナラのチャンス。

スタンドからは、母・園子さんが見守る中、中崎投手が気迫のピッチングで切り抜け、試合は決勝で初のノーアウト1塁・2塁から始まる延長タイブレークに突入した。

迎えた10回表、京都国際がついに均衡を破った。
満塁のチャンスを作ると、押し出しのフォアボールなどで2点を奪う。

そして10回裏、2点を追う関東第一は1点を返すと、その後2アウト満塁に。
しかし、最後のバッターが三振に倒れ、京都国際が初優勝、京都勢が68年ぶりに全国の頂点に立った。

京都国際・中崎選手の母・園子さん:
本当に最高の思い出をいただきました。

京都国際・中崎琉生投手:
つらいこともありましたし、しんどいこともあったんですけど、きょうの1試合、1日ですべて報われたかなと思います。

優勝した京都国際の姉妹校、韓国・ソウルの高校も歓喜に沸いた。

京都国際の韓国の姉妹校の学生も喜びの声

韓国の姉妹校の学生:
京都国際高校の学生たちよ、優勝おめでとう。必ず良い選手になって、高いところで会おうな。ファイト!

そして、韓国の尹大統領も、さらに祝福のメッセージを送った。

韓国・尹錫悦大統領:
野球を通じて、韓日両国がもっと親しくなれたらいいと思います。やっぱり野球は偉大です。多くの感動を生み出しますから。

関東第一高校のパブリックビューイング

一方、敗れた関東第一を応援していた人は、「悔しいです。でもがんばってくれたので。いい試合を見せてくれて“ありがとう”と伝えたいです」と語っていた。

関東第一の応援バスにも“2024年問題”

その中で、甲子園に欠かすことのできない応援団が、ある問題に直面していた。

関東第一・三原直也教頭に話を聞いた。

関東第一・三原直也教頭:
バスの乗り換えが発生するというところですかね。バスの法律が厳しくなっているので。

応援バスにも“2024年問題”が

問題の背景となったのは、2024年4月から導入された、バスなどの運転士の時間外労働規制、いわゆる「2024年問題」。

関東第一の応援バスは京都で乗り換える必要があったという

運転士の労働時間の関係で、関東第一の応援団も道中の京都でバスの乗り換えをする必要があったという。

さらに、東京都市大学都市生活学部の西山敏樹准教授は、「やっぱり甲子園とかになってきてしまうと、(運転士)2人は確実に必要になると。それがあるので、(移動費は)ちょっと高くなる」と指摘する。

関東第一は応援のためのクラウドファンディングを行った

関東第一では、春のセンバツの時と比べ、移動の費用が高くなったことから、OBなどからの寄付のほか、約500万円を目標にクラウドファンディングを実施し、約380万円の寄付が集まっている。

関東第一・三原直也教頭:
ご支援いただくことで、生徒の応援団をしっかり組むことができるので、「みんなで行きましょう」という声かけをすることができると、変わったかなとは思います。

また、公立高校ながらベスト8に進出し、「大社旋風」を巻き起こした島根県代表の大社高校も、勝ち進んだことで応援団の移動費などがかさみ、後援会が募金を呼びかけた。

島根・大社高校に寄付をした人:
1万円ほど、気持ちで。ここまで勝ち進んでいったことに、すごく元気をもらって。 

100年の歴史で初めての延長タイブレークで決着した、この夏の甲子園。
その裏には、多くの人たちの支えがあった。
(「イット!」8月23日放送より)

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