広島カープが勝つために大事な人が、森下暢仁 投手です。巨人との首位攻防戦初戦(8月20日)の予告先発です。実はことし、ルーキーイヤー(2020年)の防御率を上回る過去最高の成績を残しています。その裏に何があるのか、聞きました。

森下暢仁 防御率 勝利 敗戦
2020  1.91  10  3
2021  2.98  8  7
2022  3.17  10  8
2023  3.01  9  6
2024  1.58  9  4

広島カープ 森下暢仁 投手
「やっぱり後半戦、ここからが本当に大事になってくると思いますし、この一試合一試合が大事になってくると思うので、自分が任されたところでいい準備をして試合に臨めたらなと思って今はやっています」

6年ぶりの優勝へ突き進むカープを支えているのが、リーグトップの防御率をたたき出している先発陣です。その中でも快投を続けているのが、5年目の森下暢仁。

防御率は、大瀬良大地 に次ぐリーグ2位の1.58。6月には、100球未満で完封勝利を挙げる “マダックス” もプロ入りして初めて達成しました。

実況(6月25日 ヤクルト戦)
「1球目、丸山和郁 に投げました。初球打ち。セカンド、回り込んでボールを捕った。そして、一塁に送球。アウト。スリーアウト、ゲームセット。自身、初めて球数100球切りでの今シーズン初完封!」

ここまで 床田寛樹 に次ぐ9勝をマーク。新人王を獲ったルーキーイヤー(2020年)と2年前(2022年)に挙げた自己最多の10勝が目前に迫っています。

森下暢仁 投手
「ことしはもともと、キャリアハイをめざしたいなと思ってスタートしたので、そういう数字はしっかり超えられるように今シーズン、やれたらいいなと思っているので。あとは本当、この夏場だったり、終盤が大事になってくると思うので、しっかりと踏ん張ってチームが勝てるようにやれたらいいなと思っています」

その目標に伴い、ここまで新人王を獲った1年目を超える最高の成績を残している森下。その好調を支えるのは、2つの要因があると自己分析します。

1つ目は、先頭打者へのアプローチ。現在、被出塁率は、セ・リーグ1位の.255。最もランナーを出さない男が、特に意識しているのが先頭打者でした。

セ・リーグ被出塁率(18日現在)
1位 森下暢仁(広島).255
2位 菅野智之(巨人).258
3位 戸郷翔征(巨人).259

森下暢仁 投手
「いつも會澤(翼)さんと『先頭バッター、がんばろう』っていう話をしているので、まずはしっかりと先頭バッターをアウトにして、自分のペースで投げていけたらいいなと思ってやれているので、そこが本当に得点にもからんでいないですし」

イニング先頭打者 被出塁率(番組調べ)
2022 .353(181-64)
2023 .315(133-42)
2024 .263(114-30)

実際、2年連続、先頭打者の被出塁率は3割を超えていましたが、今シーズンは.263にまで改善。自身のペースで投げられる頻度も上がり、そのほかの数字もおのずと上向きとなっています。

では、そもそも、なぜバッターを抑えられるのでしょうか? それが今シーズン、特に進化した要素だと語ります。

森下暢仁 投手
「毎シーズン、毎シーズン、カーブだったりチェンジアップがよかったり悪かったりっていう…。いい試合があったり悪い試合があったりっていう感じで使えなくなったりしていたので、そこが今、全試合でしっかり使えているのはいいのかなと思います」

今シーズン、快投を続けられている秘訣は、緩い球の精度。これまで調子の波が激しかったチェンジアップとカーブが安定的に投げられていることで、投球の幅が広がりました。

森下暢仁 投手
「緩い球でカーブだったりチェンジアップっていうのは、カウントが悪くなると、あんまりコントロールできなかったですし、その部分ではバリエーションが増えたのはあるのかなと思います。今のところ、全球種、自信を持って投げていますし、両サイドにしっかりとストレートも投げられているので、特にカウントが悪くなっても自信を持って全球種を投げられているのがいいのかなとは思っています」

今シーズン、もう1つ、投手の中で圧倒的な成績を残しているのが、バッティングです。

実況(8月3日 中日戦)
「中日・大野雄大が投げました。打ちました。ピッチャーの前で高くはね、セカンドを越えていく。タイムリーヒット。三塁ランナー、還ってくる。そして二塁ランナーもホームに還ってきました。ピッチャー・森下暢仁、すごい。センター前に抜ける勝ち越しの2点タイムリーヒットになりました」

昨シーズンにもホームランを放つなど非凡な才能を見せていましたが、今シーズンは打率.270(37-10)。セ・リーグ投手の中で唯一、2けた安打を放っています。

直近4試合では打順も “8番” に起用されるなど、“一打者” としてその役割を全うしています。

森下暢仁 投手
「打てるときと打てないときはありますけど、楽しくやれているのはありますし、よりみなさん、期待してくれるので、打ちたいなと思って打席に入っています。ピッチャーだから本当に攻められるところとかも限られてきますし。まあ、自分もピッチャーなので、基本的にどんな球が来るかなって考えながら打席に入って、本当、いいところに飛んでるってだけですね」

1年目からエースナンバーを背負ってきた26歳。6年ぶりの頂点へ向け、カギを握る首位攻防戦でその初戦のマウンドに上ります。

森下暢仁 投手
「この順位にいられるのもそうですし、順位を落とさないためにも一試合一試合、大事だと思うので、自分のできることを今は本当にできているんじゃないかなと思います。自分は1週間に1回しかいないので、その試合で勝つか負けるかなので、ゲーム展開だったり、長いイニングを投げられるかっていうことよりかも、投げた試合で勝ちたいなっていう思いがあるので、チームが勝てるような投球を続けていけたらなと思います」

  ◇  ◇  ◇

石田充 アナウンサー
…という進化を自分自身、分析していた森下投手でした。

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
會澤翼 選手にも今シーズン、聞いたんですけど、全く同じことなんです。レベルが上がっているし、たとえ1つ、悪い球種があったとしてもそのほかでカバーできるという。だから、バッテリーで話し合っているところと話し合ってないところとあると思うんですけれども、同じ思いを共有しているっていう。だからこそ、1点台の防御率を出せるんだろうなと思います。

青山高治 キャスター
好調のカギを握るのが緩い球、カーブとチェンジアップということですね。

石田充 アナウンサー
ただ、森下投手は自己最多の10勝にあと1勝なんですけれども、ことしは開幕ローテに入っていないんです。そういった中で、まだ40試合近く残している中で9勝を挙げている頼もしさというのもありますし、あとは先週末、本来であればヤクルト戦に登板する予定だったのが、台風の影響もあって、首位攻防戦の初戦に行くことになった。これもなにか運命かもしれませんから。

天谷宗一郎 さん
そうですね。今、一番期待できるピッチャーといっても過言ではないと思うので、これから巨人との直接対決残り9試合、その中の1つ目なので森下投手にまず1つ勝ってもらいたいなと思います。

石田充 アナウンサー
そして、今度の日曜日は森下投手のバースデーですから、その前にいい形で自身も白星を付けて、2けた勝利にのせて、ぜひ、次からの戦いに臨んでいただきたいと思います。

(RCC「イマナマ!」カーチカチ!テレビより)

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