第105回全国高校野球選手権大会の開会式=2023年8月、甲子園球場

日本高野連が19日に今夏の甲子園大会の一部で「2部制」の実施を決め、夏の高校野球で叫ばれ続けてきた暑さ対策で、大きな一歩が踏み出された。最も気温が上がるとされる午後2時前後の試合を避けた2部制の導入。日本高野連の井本亘(わたる)事務局長は「何かをやらないと何事も見えてこない。こういった形でやって、次の展開も考えられる」と強調した。

近年、夏の甲子園大会では気温35度を超えるような炎天下での試合が多くなり、熱中症で足がつる選手も多く出ていた。昨夏の大会では五回終了時に水分補給などができる「クーリングタイム」が初めて導入されたが、それでも体調不良を訴える選手が出て、抜本的な解決にはならなかった。

夏に屋外の球場で1日4試合を実施する方式に問題の一端がある。ただ、甲子園はプロ野球阪神の本拠地でもあり、日程の緩和は難しい。高野連と甲子園球場との議論の中では、4試合の日の2部制をシミュレーションする中で、観客の入れ替えに時間がかかることも障壁として浮上したという。第4試合の終了が午後10時を過ぎることも予想され、生徒らの帰宅の安全確保の問題も出てくる。

今回、2部制が実施されるのは大会17日間(休養日含む)のうちわずか3日間で、3試合開催の日だけにとどまった。本格的な2部制の実現に向けて課題は多いが、選手が憧れの聖地でプレーを続けていくためにも、健康面を最優先にしながら、今回の改革を新たな議論につなげていかなければならない。(大石豊佳、丸山和郎)

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