パリオリンピック・ボクシング女子で起きた、性別をめぐる出場資格の騒動がさらに拡大している。
渦中の台湾選手の母親がカメラの前で語る一方、対戦相手による抗議で、会場が騒然となる事態になった。
トルコ選手が何度も“人さし指交差”
日本時間8日に行われた女子ボクシング57キロ級の準決勝。
勝てば銀メダル以上が確定する一戦。
観客の大きな拍手で迎えられ、台湾の林郁婷（リン・イクテイ）選手が登場した。
林選手は、2023年の世界選手権で、別の階級のアルジェリアのハリフ選手とともに、IBA（国際ボクシング協会）から失格処分を受けた。
理由は、男性ホルモンのテストステロン値が高いというもの。
一転、パリでは、IOC（国際オリンピック委員会）が、両選手とも出場を認め、2人はこれまで順調に勝ち上がってきた。
会場に大歓声が響く中、林選手の対戦相手のトルコの選手も右手を掲げ、ステップを踏みながら登場した。
試合が始まると、長身の林選手が長いリーチを生かし、試合を有利に進める。
勝敗の行方は判定に…。
結果、林選手が判定勝ちし、銀メダル以上が決まった。
しかし、このあと敗れたトルコの選手が、思いも寄らぬ行動に出た。
ロープを持ち上げ、リングから林選手を先に下ろすと、何度も人さし指を交差させるポーズを繰り出した。
女性が2つ持つX染色体を示したか
実は、準々決勝で林選手に敗れたブルガリアの選手も、同じように2本の指を交差させるしぐさを取っていた。
2人の選手は、このポーズの意味について語らなかったが、2本の指の交差はアルファベットの「X」の文字に見える。
海外メディアは、女性が2本持つX染色体を示すことで、林選手の出場に無言の抗議をしたのではないかとしている。
こうした中、林選手は試合終了後、取材に応じ、金メダルがかかった決勝戦への意気込みを語った。
林郁婷選手（台湾）：
オリンピックに出る選手たちは、みんなトップレベルで一流です。すべての試合を全力でやっていくつもりでメダルを取りたいです。
「彼女は生まれた時点から女の子」
今世界から注目が集まっている林郁婷選手とは、どのような選手なのか。
FNNは、林選手の出身地の台湾で、高校時代のコーチを取材した。
林郁婷選手の高校時代のコーチ：
彼女はとても頭がよく、礼儀正しい人です。それにスポーツの成績も抜群でした。
そして騒動となっているリン選手の性別について聞くと…。
林郁婷選手の高校時代のコーチ：
彼女は生まれた時点から女の子だし、身分証明書の頭文字も女性です。他人がどう言おうが、私たちは制限できません。やるべきことをきちんとやって、体のケアに集中して、彼女がより良い成績を発揮できればそれでいいんです。
教え子に対し、エールを送った。
林郁婷選手の母親は、「ずっと頑張って戦ってきた彼女の姿を見てきました。台湾と彼女自身のために金メダルを獲得してほしいです」とメディアに語った。
林選手は、世界的な議論となっている自身の性別による出場資格をめぐる騒動について、台湾メディアに対しこう語った。
林郁婷選手（台湾メディアより）：
私はこういう外見だから注目されやすい。トイレで「あなた間違っています」と言われますが、「私は女性です」と説明しています。昔からずっと、ありのままの自分でやってきました。
世界が注目する2人の女性ボクサー、アルジェリアのハリフ選手は、日本時間10日の早朝、リン選手は日本時間11日の早朝に金メダルをかけた決勝戦に臨む。
選手が指を交差するポーズをしていたが、これに関して一部の海外メディアは、負けた選手のコーチが、女性ボクサーからのメッセージとして、「私は女性とだけ戦いたい。私はXXですというメモを示した」と報じている。
（「イット!」8月9日放送より）
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