パリオリンピック・ボクシング女子の性別をめぐる出場資格が論議を呼んでいる、アルジェリアのI.ハリフ選手。
世界が注目する一戦を、フジテレビ・宮司愛海キャスターが取材しました。

宮司愛海キャスター:
もう間もなくハリフ選手が出場する準決勝が行われるが、アルジェリアの旗を持った方々がたくさんいます。

日本時間7日早朝に行われた、女子ボクシング66kg級の準決勝。
満員の観客から大きな声援を受けて登場した、タイのJ.スワンナペン選手とハリフ選手。

2023年の世界選手権で、男性ホルモンのテストステロン値が高いとして、IBA(国際ボクシング協会)から失格処分を受けたハリフ選手。

しかしパリでは一転、IOC(国際オリンピック委員会)が出場を認め、世界の注目を集めながら勝ち上がってきました。

ゴングが鳴り試合が始まると、一進一退の攻防が繰り広げられ、お互い一歩も引かずに勝敗は判定に。
そして、ハリフ選手が判定勝ちとなり、銀メダル以上を確定させました。

宮司愛海キャスター:
ハリフ選手が勝利しました。会場内に歓声が沸き起こっています。自分の声も聞こえないくらいの歓声が沸き起こっています。

敗れたタイのJ.スワンナペン選手は試合終了後、取材に応じ、「相手は手が長いし、早いことを認めないといけない。こちらも相手の近くに入ろうとしたんですが、入れなかったです。全力で頑張りました」と語り、記者からの「この試合は平等だと思う?」という質問に「特に気になりませんでした。ルールもジャッジも決まっていますから」と答えました。

世界が注目する一戦に勝利したハリフ選手は、興奮した様子で「私はこの結果を非常に誇りに思っています。私のすべてはアルジェリアの人々のためにあり、きょうの試合でみんなに喜びをもたらすことができていればいいです。次の試合(決勝)でも、集中力を高めて戦いたいです。みんながサッカーの試合くらい見てくれていて、すごくうれしく思っています」と話しました。

パリの宮司キャスターによると、ハリフ選手の名前である『イーマン』コールが会場内に沸き上がり、いわばアルジェリアホームのような雰囲気で、ほかの試合と比べても熱量は明らかに違う印象があったということです。

試合内容としては、どちらかが極端に攻め込むものではなく、互角に近いゲーム内容で、試合後に外に出るとアルジェリアの国旗を掲げた200人近くの方々が、30分ほどにわたって国歌を歌いながらハリフ選手をたたえている姿がありました。

そのうちの1人のアルジェリア人の方に話を聞いたところ、「実は来る予定はなかったんだけれど、今回のことがあって、どうしても応援したくてここに来た。彼女は純粋にボクサーとして強いから勝ったんだ」と話していました。

また、準決勝も世界各国からメディアが押し寄せていて、会場はとてもピリピリしていて厳戒態勢が敷かれていました。
試合後にはインタビューエリアにメディアが駆けつけていましたが、中にははじき返されるようなメディアもあり、エリアは満員だったということです。

現地の報道がどのように報じられているかといいますと、大手地元紙のル・パリジャンでは「この5日間、彼女の位置づけをめぐる論争で準備に支障を来すほど感じていたであろうプレッシャーから解放されたかのようだった」などと、彼女を擁護するような論調が多くみられました。

さまざまな報道がある中、現地で取材をしている宮司キャスターは、両選手ともここの場所に立ったからには正々堂々と戦いたいし、お互いをリスペクトしていると感じ、「それを見て私も純粋に両選手を応援したい気持ちになったということを皆さんにお伝えしたい」と伝えました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。