エース宮田選手の辞退によって4人で臨んだパリオリンピック™、体操女子団体の決勝。不利な状況をはねのけ、戦い抜きました。

■4人で臨んだ決勝の舞台 体操女子団体 8位入賞

上村彩子キャスター:
4人で臨んだ体操女子団体の決勝は、ゆか・平均台・跳馬・段違い平行棒の4種目で行われました。種目ごとに3人が演技をして合計点を競いました。日本は5人ではなく1人少ない4人で挑み、堂々と8位入賞となりました。1人少ないというのは具体的にどんな影響が出てくるのでしょうか。

元体操日本代表 田中理恵さん:
事前合宿から5人で戦う準備はしっかりしてきたので、誰が抜けても大変です。一番は誰が行くか、二番は誰がいいかと準備をしながら来ていたので、順番の変更があったときはバタバタします。

しかし、演技をするときは一人です。体操競技は自分との戦いの中、順番に回ってきたことにどれだけ集中して、自分が練習してきたことをどれだけ100%近く出せるかということだけを考えて、この4人の選手は演技をしていました。

井上貴博キャスター:
いろいろな雑音が入ってくる中で、“あそこまでよく楽しめるな、この子たちは…自分だったら…”なんかと考えてしまいます。

弁護士 萩谷麻衣子さん:
宮田選手を感じながら、4人で宮田選手の分も楽しく頑張るという姿が伝わってきました。すごく仲がいいチームなんですかね。

田中理恵さん:
本当にチーム力・チームワークは宮田選手がしっかり作ってくれていたと思います。抜けてしまいましたが、残った4人でチーム力をしっかり作っていこうという会話は、みんなでしっかりしていたのではないでしょうか。

ですので、決まった試合の日に向けて最後の最後まで諦めないで日本の“美しい体操・正しい体操”を見せつけてやるぞという思いが見えました。試合前には円陣を組んでいたので、選手たちは楽しんでいたと思います。すごい緊張感の中、全員が初めてのオリンピックなので楽しむしかないんですよ。

萩谷麻衣子さん:
4人の中でムードメーカーの方はいらっしゃるのですか。

田中理恵さん:
牛奥選手はチームワークとして声かけをしてくれたりもすると思うので、すごく選手たちを引っ張ってくれたかなと思います。岸選手は努力家で真面目なので、練習や演技を見ていると、自分たちも頑張ろうという気持ちになると思います。

上村キャスター:
では決勝に挑んだ4人について改めて見ていきましょう。
岸里奈選手(16)、中村遥香選手(16)、岡村真選手(19)、牛奥小羽選手(19)と全員が10代で平均年齢は17.5歳です。さらには全員オリンピック初出場でした。とても重圧がかかっていたと思うのですが、笑顔が印象的でした。

そして大会の直前にはエースの宮田選手が離脱するということもありましたが、4人の選手の皆さんは一緒に戦っているという気持ちだったようです。

髪型を見てみると、宮田選手からのプレゼントのヘアピンがつけられていました。さらには入場時には宮田選手の決めポーズを4人一緒に行いました。

牛奥小羽選手は「演技するのは4人だったのですが、心は5人。たくさんの人の支えがあったからこそ、ここまで来られた」ということです。

ホラン千秋キャスター:
オリンピック直前にメンバーが抜けてしまうことがあり、バラバラになってしまってもおかしくない揺さぶられ加減だったと思います。しかし、より結束して頑張れたのは、それだけ宮田選手の存在が4人にとって大きかったからだと伝わってきます。

田中理恵さん:
宮田選手の存在はすごく大きかったと思います。代表メンバーが決まってからはキャプテンとして16歳の選手たちをすごく引っ張ってくれた部分があったので、演技は4人ですが、心の中では5人でオリンピック代表になったんだという気持ちで、ちゃんと宮田選手の分も背負って演技をしてくれていたのはすごく嬉しいです。

上村キャスター:
また、コーチの存在も大きかったのかもしれません。豊島リサコーチ(46)は、演技を終えた選手を抱きしめたり、満面の笑みで迎えるシーンもありました。
豊島コーチは1996年のアトランタオリンピックの日本代表で、旧姓は菅原です。NPO戸田スポーツクラブで指導を行っていて、2児の母親でもあります。

豊島コーチの姿を見て、SNSでは“付き添ってるママみたい。上手にできたねぇって感じの笑顔が微笑ましい”、“コーチを含め笑顔が絶えないチーム”と書かれていました。
田中さんは一緒にやっていたこともあるそうですが、豊島コーチはどんな方でしょうか。

田中理恵さん:
豊島コーチは練習ではすごく厳しいです。愛を持って厳しく指導してくれるのですが、試合のときは演技が終わると、豊島コーチもちょっとホッとするというか、一緒に戦ってくれているような感覚で一緒に喜んでくれたり抱きしめてくれたり、“よくやってくれた”と背中を押してくれたりする、本当に愛がある先生だなと思います。私も2010年の世界選手権で一緒に戦わせてもらったのですが、試合が終わると“よくやったね”と声をかけてくれました。今回の試合も豊島コーチが喜んだり涙ぐんでいる姿を見て泣けてきました。

井上キャスター:
今回の4人はまだ国際舞台の経験が浅いからこそ、これからに期待しかないと思うのですが、体操女子日本代表の見てほしいポイントや、世界のチームと比べての良さを教えてください。

田中理恵さん:
日本が一番大切にしている“美しい体操・正しい体操”はどの時代でもみんなが引き継いでくれているなと思います。180度以上開いたジャンプの美しさや、つま先の綺麗さ、姿勢の綺麗さをしっかり見ていただけたら嬉しいなと思います。

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<プロフィール>
田中理恵さん
元体操日本代表 2012年ロンドンオリンピック代表
東京2020五輪・パラリンピック競技大会組織委員会理事

萩谷麻衣子さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当

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