パリオリンピック柔道女子57キロ級で長野県塩尻市出身・カナダ代表の出口クリスタ選手が金メダルを獲得しました。悲願の金メダルをつかみ取った出口選手。結果が出ない時期、そしてカナダ国籍の取得、ここまでの柔道人生には苦悩と決断がありました。
子どもの頃の出口選手。男の子に投げられてもすぐに立ち上がり、当時から負けん気の強さを見せていました。
出口選手は母親の実家のある塩尻市で育ち、3歳から地元の誠心館道場で柔道を始めました。
松商学園時代には1年生でインターハイ優勝。「日本代表としてオリンピック出場」が目標となります。しかし、大学に進んでからはプレッシャーもあり思うような結果を残せずにいました。
すると2017年、転機が訪れます。父親の母国・カナダから声がかかり、半年間、悩んだ末に国籍を取得。「カナダ代表」として戦うことを決めたのです。
出口クリスタ選手（2019年取材）：
「五輪で勝ちたいとずっと柔道を続けてきたので、より可能性の高い方を」
最後に相談したのは、3歳から指導を受けてきた誠心館の村山良治さんです。
誠心館道場 恩師・村山良治さん：
「自分のチャンスが広がるなら行った方がいいのではと。確かに日本の柔道で強くしてもらったけど、チャンスあるならカナダに行ったってお前の人生なんだからと」
この決断で成績も好転。国際大会で優勝を重ねていきます。
出口クリスタ選手：
「日本はいろんなプレッシャーを背負いながら戦っていると思うが、カナダは自由にやらせてくれるので、それが合っていたかも」
東京オリンピックは惜しくも出場できませんでしたが、2023年の世界選手権で優勝。今回、世界ランキング1位で初のオリンピック代表の座をつかみました。
出口選手は先日、地元で行われた壮行会で「信州人代表」としてメダルを持ち帰りたいと話していました。
出口クリスタ選手：
「市長にはメダル取ったら（地元の）郷原街道でのパレードを約束しているので、ぜひメダルを持って帰ってきたいと思います」
有言実行！パリ五輪で金メダル獲得！
恩師・村山良治さんはー
誠心館道場 恩師・村山良治さん：
「夢のようです。どんな顔して（塩尻に）来るかね。メダルぶら下げて俺にかけてくれると思うんだけど」
出口選手が通っていた道場の子どもたちはー
6年生：
「同じ道場の大先輩が優勝してすごくかっこいいし、とてもうれしかった」
「（出口選手は）ヒーローみたいな存在。（目標は？）オリンピック優勝です」
「金メダルおめでとうー！！」
松商学園の後輩はー
後輩の柔道部員：
「深夜だったんですけど、大きい声出しちゃいました。練習に来たときは、話しやすくていろいろジョークも言ったり」
「クリスタさんがいなければ『世界』というのを考えることもなかった。いずれは追いついて、追い越したい」
塩尻市は30日早速、金メダルを祝う懸垂幕を掲げました。
百瀬市長はお手製の金メダルを出口選手のパネルにかけました。
塩尻市・百瀬敬市長：
「（パレードの約束もあるので）出口選手をお迎えする準備をしっかり整えて、帰ってくるのを楽しみに待っている」
悲願の金メダル。恩師や後輩、そして地元・塩尻市も喜びに沸いています。
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