プロ初優勝を飾り、父の弘吉さん(右)と抱き合う金田久美子=2011年4月24日、川奈ホテルGC富士コース
女子ゴルフの第42回フジサンケイレディスクラシック(フジテレビ、産経新聞社など主催)は4月19日、静岡県伊東市の川奈ホテルGC富士コースで開幕する。40年を超える歴史を誇り、幾多のドラマを生んだフジサンケイレディス。記憶に残る「思い出の名場面」を厳選し、当時の記事と写真で振り返る。

(2011年4月24日、静岡・川奈ホテルGC富士コース=6464ヤード、パー72)

5打差の8位から出たプロ3年目、21歳の金田久美子が7バーディー、1ボギーの66をマーク、通算5アンダー、211で逆転のツアー初優勝。賞金1440万円を獲得した。

2打差の2位は李知姫(韓国)。さらに1打差の3位に藤田幸希とヤング・キム(韓国)が入った。

前日首位のアン・ソンジュ(韓国)は11位に後退し、有村智恵は17位。横峯さくら、諸見里しのぶは27位だった。」

最終日に首位との5打差を逆転し、念願の初優勝を飾った金田久美子=2011年4月24日、川奈ホテルGC富士コース
順位 スコア 選手 1R 2R 3R

優勝

-5

金田久美子

211

70

75

66

2

-3

李知姫

213

73

72

68

3T

-2

藤田幸希

214

71

74

69

ヤング・キム

214

72

69

73

精神面で成長「冷静にプレーできた」

優勝者に贈られる白いブレザーを着た金田の表情は輝いていた。首位に5打差をつけられていたが「ゴルフは最後まで何が起こるか分からない」と自らに言い聞かせて最終日に臨んだ。5打差をひっくり返しての勝利は、2008年の上原彩子らと並ぶ今大会の最大差逆転優勝劇。「冷静にプレーできた」ことを勝因に挙げ、「自分がこんなに冷静にプレーできたことに驚いた」と精神面の成長を強調した。

3歳でゴルフを始め、タイガー・ウッズ(米国)に並ぶ8歳で世界ジュニアを勝って「天才少女」と注目を集めたが、09年のプロ1年目から苦節の日々を送った。開幕から4戦連続予選落ちするなどし賞金ランキング54位でシード権を取れず、ツアー出場権を争うクオリファイングトーナメント(QT)も88位に。10年の出場は8試合にとどまった。

「地獄でした。ゴルフ場を見るだけで涙がこぼれた」と当時を思い出して今でも涙するほど。父の弘吉さん(67)は「ジュニアで成績を残したプライドがあり、それとの戦いだったのでしょう」と娘の苦しかった胸の内をおもんぱかった。

屈辱をはね返すように練習に打ち込んだ。石川遼のトレーナーでもある仲田健さんに付いて体力強化を図り、「大会の2、3日目にスコアを伸ばせるようになった」と手応えを感じた。実際、今季は開幕から7、12位と結果になって表れた。

この日も1番で「これを入れたらいけるね」とキャディーと話した2メートルの難しいフックラインを沈めてバーディーを奪うと、ショット、パットともさえて3番から3連続バーディーを含め5バーディー。前半で2位に躍進すると、後半も勢いは衰えなかった。「練習は噓をつかない。自信を持ってプレーできた」と語気を強めた。

「時間がかかった」と振り返った初優勝で賞金ランキング首位に躍り出た。平成生まれの21歳は「これに満足せず、さらに上を見て勝ちたい」とさらなる飛躍を期した。(松本恵司)

通算5アンダーでプロ初優勝を飾り、優勝杯を手にする金田久美子=2011年4月24日、川奈ホテルGC富士コース

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。