矢のような送球が2塁ベースに向かっていく。7月7日、鳴尾浜球場(西宮市)で行われた阪神タイガース2軍とのプロアマ交流戦。日本生命の2年目捕手・石伊雄太(23)が自慢の強肩で、阪神の百﨑蒼生(18)、遠藤成(22)の二盗を刺した。

 近大工学部4年時はドラフト指名漏れ。石伊は「悔しさというか、応援してくれていた人へ申し訳ない気持ちの方が大きかった」と当時を振り返る。

 「ただ肩が強いだけではいけない」。日本生命入社後、持ち味の守備を伸ばしつつ、課題と言われてきた打撃にも多くの時間を割いて練習してきた。その努力が結果として表れ、2023年11月の日本選手権と2024年5月のJABA京都大会で本塁打を放ち、同じく5月の近畿地区都市対抗第1代表決定戦の日本製鉄瀬戸内戦では9回に決勝タイムリーを放つなど、今では「打てる捕手」として12球団のスカウトが注目する選手に成長した。

 そんな石伊には、背中を追いかけている幼なじみの存在がある。阪神タイガースの湯浅京己(24)だ。

 (石伊雄太選手)「1歳上の“あっくん”(湯浅)とは、保育園が一緒で少年野球チームも一緒でした。年末、尾鷲(三重県)に帰省したら、あっくんと一緒にキャッチボールもしています。先日のプロアマ交流戦でも会って『がんばれよ』と声をかけてもらいました」

 応援してくれる家族への思いも強い。

 (石伊雄太選手)「試合がある時はいつも尾鷲から父と母が車で応援に来てくれるんです。先日も3時間かけて鳴尾浜まで来てくれました。家族のためにも頑張りたい」と話す。

 7月24日に日本通運との初戦を迎える都市対抗野球に向け、石伊は「チームとして、守備からリズムを作って攻撃につなげることを意識して練習してきた。まずはバッテリーでリズムを作っていきたい。目標は優勝です」と力強く語る。

 日本生命の扇の要が、全国の舞台で投手陣を引っ張る。


◆石伊雄太(いしい・ゆうた)
2000年8月18日生 三重県尾鷲市出身 179㎝83㎏ 右投右打 
近大高専~近大工学部~日本生命  
近大工学部時代、広島六大学リーグ通算9本塁打、ベストナイン4回。
日本生命では1年目から正捕手として都市対抗・日本選手権に出場。
遠投110m。趣味は音楽鑑賞(EXILE)。

◆取材・文 金山泉(かなやまいずみ)
MBSアナウンサー。1982年6月5日生、新潟県上越市出身。 
野球とB’zをこよなく愛する。
投手として首都大学リーグ2部で通算11勝(8敗)をマークした。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。