■FIVBバレーボールネーションズリーグ 男子ファイナルラウンド決勝 日本 1ー3 フランス(日本時間1日、ポーランド)
ネーションズリーグ男子決勝で、日本代表が東京五輪金のフランスにセットカウント1ー3で敗れ、主要国際大会52年ぶりの金メダルには惜しくも届かなかったが、1977年のワールドカップ以来47年ぶりとなる銀メダルを獲得した。「まだまだ伸びしろしかない」と話した、解説を務めた元バレーボール日本代表の福澤達哉さん(37)にネーションズリーグでの日本代表の戦いを総括してもらった。
土井敏之TBSアナウンサー:ついにネーションズリーグが終わりました。福澤さん、どうでしたか、長い1か月半でしたが。
福澤さん:十二分にバレーボールを全力で楽しみましたね。本当に楽しかったです。
土井アナ:日本の初戦から見ていくと、東京オリンピック銅メダルチームのアルゼンチンに勝った所からスタートしました。
福澤さん:最初のブラジルラウンドは高橋藍選手、石川選手、世界トップレベルの2人を欠いた中で、ブラン監督も一番キーになる一週間だと言ってた中で、全員バレーで最高の滑り出しをしてくれましたから、まさにこのオリンピックイヤーでこれだけ選手層は高いんだっていうのを早速見せてくれた、そういった試合でもありました。
土井アナ:そして日本に戻ってきた福岡ラウンドの、あの熱狂でした。
福澤さん:私も会場にいましたけども、会場が揺れるんですよね。
土井アナ:本当に揺れてましたもんね。
福澤さん:はい。ここまで日本のバレー人気がが高まってきてるのかっていう所と、会場のお客さんを巻き込んで、それをうまく点数に変えていく日本のチーム力、会場を含めてチームジャパンが完成されましたから。素晴らしい会場でしたね。
土井アナ:もう1個チームジャパンが醸成された会場がありましたね、フィリピン。
福澤さん:ここ日本かなって勘違いするくらいの、まさにホームグラウンドの中で。このフィリピンラウンドでも、素晴らしい試合、素晴らしい戦いを展開してくれてました。特に、追い込まれたシーンからの跳ね返す力っていうものを、フィリピンラウンドでは見せつけてくれたと思うので。
土井アナ:フランス0対2からひっくり返して勝った。アメリカ戦ではメンバーを変えたけど勝った。
福澤さん:そういった粘りっていう所が今、世界で戦っていく上での生命線になってるっていうところをしっかりと証明してくれた、そういったラウンドでもあったと思うので。今思い返すと、ブラジルラウンド、福岡、そしてフィリピンと確実に選手の調子は上がってきた中で、ファイナルラウンドに挑むっていう、そういった所の成長をネーションズリーグの1か月半を通して見せてくれたので、それを感じられるのも楽しかったですよね。
土井アナ:チーム力の向上、選手層の厚さ、そして穴がどんどん無くなっていく、日本のチームが完成に向かって進んでるというのが本当に感じられた大会でしたね。
福澤さん:そうですね、ファンも含めて全員が日本のオリンピックに向けて着実に一歩ずつ階段を踏んでいってるっていう、そういった感覚があったんじゃないかなと思いますね。
土井アナ:その階段の先にオリンピックがあります。日本がメダルを手にするためには、どんなところがカギになるでしょう?
福澤アナ:ファイナルで勝つことの意味。どういった部分が、最後勝ち切れるかどうかっていう所を、今、選手がまた一段上のレベルで感じたと思うんですよね。この1点を取り切れるかどうか、流れをつかみきれるかどうか。それがメダルを取るために大事なんだっていうことを得たわけなんですけども、銀メダル、本当に素晴らしいことだと思うんですけど
銀メダルは、唯一負けて取るメダルなんですよ。
土井アナ:そうなんですよね、銅メダルマッチは勝って取りますが、金と銀は、勝ちが金、負けが銀なんですよね。
福澤さん:ただ、この負けた銀メダルっていう所には、次は金を取るっていう気持ちと、どこでそれが取れるんだよっていう経験がそのメダルの上に乗っかってるわけじゃないですか。それを得た日本が、そのまま勢いでオリンピックに向かう。これはもう期待しかないですよね。
土井アナ:世界ランキング5位以内でネーションズリーグのレギュラーラウンドを終えたい。そんな目標をさらに上回った。世界ランキング2位まで上がった日本でしたからね。
福澤さん:まさにオリンピックに向かうにあたって、選手の口からオリンピックでメダルを取りますっていう話は正直出てたわけなんですよ。ただ今年に関しては、色にも明言し始めた。オリンピックで金メダルを取りますって。これって口ではなかなか言えないことなんですけども、それほどまでに選手自身もそこに対してリアリティを感じられてるっていうことだと思うので、それがまさにあとちょっとでいけるなっていう、このきっかけ。きっかけさえつかめば金メダルに行けるんだっていうことを、今日の試合で、メンバーにした選手全員がコートに入りましたから、そういった意味でも、その経験を引っ提げて
オリンピックに向かうわけですから、残り数週間でまずコンディショニングをしっかり上げて、あとはその自信を持ってオリンピックに挑んでもらいたいと思いますね。
土井アナ:まさに1点の重みを感じた選手たちが、その1点の重みの大事さを形として出すのがオリンピックですね。
福澤さん:そういった意味でも今回ファイナルラウンドを戦った大塚選手を見ても分かるように、その経験がいかに人成長させるのかっていう。
土井アナ:あんなに頼もしくなるんですね。
福澤さん:我々はまじまじと見たわけですから。はい。それは選手個人だけじゃなくて、チームもしかりと思うんですよね。ファイナルという経験を踏まえたっていう所で、まだまだ伸びしろしかないチームでもありますから、この伸びしろっていう所をしっかりと潰していって、パリオリンピックのファイナルで、最後は笑って金メダルを取る姿を見たいなと改めて強く感じました。
土井アナ:このネーションズリーグ、パリオリンピックに向けて貴重な経験を得られた日本の戦いをつぶさに解説して頂き、本当にありがとうございました。
福澤さん:ありがとうございました。「パリでは男女ともにメダルへ」という合言葉をもとに、皆さんで日本にパワーを送りましょう!
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