バレーボール男子日本代表は、準々決勝でカナダにストレート勝ちをおさめ、準決勝へと駒を進めた。次戦(30日)は、29日に行われるスロベニア(世界ランキング3位)対アルゼンチン(同8位)の勝者と、メダルを懸け戦う。
日本は予選ラウンドで両者に勝利しているが、解説を務めた元バレーボール日本代表の福澤達哉(37)さんは「それまでの戦績は全く関係ない。どちらがその試合の流れを掴むか」と警戒する。チームの目標は決勝進出。「ここで(決勝を)経験しておかないと、オリンピックの決勝でメダルを取るっていうところに大きな差が出る」とも話す。

南波雅俊TBSアナウンサー:深夜の2時25分を回りました。ついさっき終わりました。

福澤さん:いや、やりました。

南波アナ:やりました!(二人で拍手)

福澤さん:勝ちました。素晴らしい。

南波アナ:カナダに勝ちました。しかもストレート!

福澤さん:やっぱりレギュラーラウンドで負けてるだけに選手の思いも強かったですし、ここでこの3ー0で。押し切られそうな場面もありましたけど、完璧なバレーボールで今日は展開しましたよね。

南波アナ:カナダも終始、福澤さんも「サーブが良かった」っていうふうにおっしゃっていたんですけど、いいサーブがあった中でも日本はちゃんと押し返しましたもんね。

福澤さん:やっぱり流れがいきそうなシーンって、特に1セット目、3セット目とたくさんあったんですよね。そのポイント、ポイントをきちんと我慢して、跳ね返してたっていう。ここが今日の試合の一番大きなポイントで、もちろん石川選手もすごかったですけど、相手の真ん中のミドルをしっかり押さえた日本の小野寺(太志)選手、山内(晶大)選手もそうですし。あれだけサーブレシーブが乱れた中でもしっかり的確なトスを上げ続けた関田(誠大)選手もそうですし、終盤20点以降の山本(智大)選手は神がかったレシーブですよね。

南波アナ:神がかってましたね。

福澤さん:もう1人1人がしっかりと劣勢な場面でも役割を果たすことができるっていう。まさに日本の強さがギュッと詰まった3セットだったんじゃないかなと思いますね。

南波アナ:見ごたえもありました。なんといっても今日26得点の・・・「世界の?

福澤さん:ユウキイシカワ(笑)」いやもうこれ癖になるからあまり言いすぎるとずっと「ユウキイシカワ」でいっちゃいそうなんですけど、それぐらいすごかったですよね。

南波アナ:すごかったですね。

福澤さん:本当に本人もやっぱり負けたら終わりっていうところで、「スイッチが入ってた」って言ってましたけど、あそこでスイッチを入れられるっていう、これがまたすごいんですよね。普通であれば、負けたら終わりっていうと、プレッシャーに感じると一瞬選手であれば、受けて立っちゃうシーンって絶対あると思うんですよ。でもそれが微塵も感じなかったですよね。当たり前かのように、スーッと入っていくっていう。その落ち着きっていうところが、やっぱり石川のこの10年間イタリアで築き上げてきた経験っていうところですし、それがそのままチームの雰囲気として、私解説中にも言いましたけど王者の風格みたいな、彼に引っ張られるかのようにしっかり出てましたよね。

南波アナ:それからアウトサイドヒッターで言うともう1人、大塚(達宣)選手。

福澤さん:そうですね。高橋藍選手を怪我で欠いた中でフィリピンラウンドからずっと出続けてますけど、本当にいい働きをしてるんですよね。見る人によってはあまり目立たない部分も、もしかしたらあるかもしれないんですけど、やっぱ彼の献身的なプレーっていうところが、チームの土台を今作ってるので。そこをおそらくブラン監督も買った上でメンバーに残したって多分あるでしょうし、今日の大塚選手はそれだけじゃないですから、自分でもっと決めてやるという欲もどんどん出てましたから。これがまたさらにいろんな選手が成長していくことによって、オリンピックまで1か月を切りましたけども、まだ成長の余地があるなっていうのも感じられる素晴らしいゲームだったと思います。

南波アナ:先輩としていかがですか。

福澤さん:いや本当にね、感無量でございます(笑)

準決勝はアルゼンチン対スロベニアの勝者と戦う

南波アナ:さあ日本としては、次はもう去年の壁ですよね。

福澤さん:そうです。ようやく準決勝。ここで勝つか負けるかっていうところで、今年はオリンピックイヤーですから。去年は準決勝に行けたっていう感覚だったと思うんですよ。ただ今回のネーションズリーグに関してはオリンピック前の大会っていうところもあって、選手が必ず「メダルを取る」ってはっきり口にした上で、「決勝にまず行く」ってもうずっと言い続けてるんですよね。

南波アナ:そうですね。

福澤さん:その背景っていうのが決勝にこれまで行ったことがないと。ここで経験しておかないと、オリンピックの決勝でメダルを取るっていうところに大きな差が出るっていうのを、もう感覚としてわかってるんですよね。だからこそこの準決勝、今日すごいギアが入ってましたけど、もう一段上がるんじゃないかっていうそういったところも期待したいですよね。

南波アナ:スロベニアとアルゼンチンの勝者との対戦になりますけれども、ともに日本は予選ラウンドで勝ってますもんね。

福澤さん:そうですね、やっぱり相性は比較的良いチームだと思いますし、十分チャンスはあると思うんですけども、ただ、ファイナルラウンドは負けたら終わりっていうこの戦い。これはオリンピックと非常に類似してるんですけども、それまでの戦績っていうのは、全く関係なくなってきたりするんですよね。どちらがその試合の流れを掴むか、今日も何本かカナダに流れが行きそうなシーンがありましたけども、そういったところが上のレベルになればなるほど、もっと激しくなってくるんですよね。その辺りでアルゼンチン、スロベニアどっちが勝ってくるかわからないですけど、どちらも勝ち方を知ってるチームですよね。アルゼンチンは東京五輪の銅メダルですから。スロベニアに関してなぜこのゾーンにいるかっていうと、ネーションズリーグのレギュラーラウンド1位なんですよね。なのでそういったところでも目が離せない戦いがあると思うので、まずはこの壁を一つ越えるっていうことが日本にとって非常に重要な鍵になってくると思う。しっかりと私もコンディションを整えて、見ていきたいなと思います。

南波アナ:今日はどうもありがとうございました。

福澤さん:頑張れ日本!

南波アナウンサーと福澤さん

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