俳優の石黒賢さん(左)とともに優勝杯を掲げる平瀬真由美=2000年9月3日、富士桜CC
女子ゴルフの第42回フジサンケイレディスクラシック(フジテレビ、産経新聞社など主催)は4月19日、静岡県伊東市の川奈ホテルGC富士コースで開幕する。40年を超える歴史を誇り、幾多のドラマを生んだフジサンケイレディス。記憶に残る「思い出の名場面」を厳選し、当時の記事と写真で振り返る。

(2000年9月3日、山梨・富士桜CC=6304ヤード、パー71)

首位でスタートした平瀬真由美が69とスコアを伸ばし、通算8アンダーの205で今季初優勝、賞金1080万円を獲得した。今季の獲得賞金を1937万円とし、ランキング17位につけた。

平瀬は3バーディー、1ボギー。終盤まで橋本愛子と競り合ったが、1打リードで迎えた17番(パー5)でバーディーを奪って2打差とし、勝利を決定づけた。橋本は2番から4連続バーディーとするなどして、一時は単独首位に立ったものの、インでスコアを落とし、結局4打差の2位。3位には通算3アンダーの中野晶が入った。

優勝を決め、会心の笑みを浮かべる平瀬真由美=2000年9月3日、富士桜CC
順位 スコア 選手 1R 2R 3R

優勝

-8

平瀬真由美

205

68

68

69

2

-4

橋本愛子

209

71

67

71

3

-3

中野晶

210

68

71

71

精彩欠いたシーズン「まさか勝てるなんて…」

耐え難きを耐えた。平瀬にとって、アウトの9ホールは苦しい展開になった。2、3、4、9番でパーオンを逃す。橋本が4連続バーディーと勢いづくのをしり目に、黙々と難しいパーパットを沈めていく。

「それでも積極的に攻めたから(パーパットが)入ったのだと思います。自分がバーディーを取ろうとだけ考えて、相手のことはほとんど考えなかった…」

忍耐のかいあって、11番ではグリーン外からの20ヤードがカップイン。17番では2メートルのバーディーパットを沈め、昨年11月のエリエール女子オープン以来の優勝を手にした。「本当にうれしいです、この優勝は。まさか勝てるなんて思ってもいなかったから…」

昨年までは米ツアーで活躍していたが、婚約を機に今年は国内ツアーに専念。5月5日には愛媛県在住の整形外科医、加藤雅紀さんと結婚した。

人生の伴りょを得たが、久しぶりの日本で、平瀬は結果を出すことができなかった。トップ10入りは前週までの13試合でたった3回。1993、94年に賞金女王に輝いたころの面影はなかった。7月末にはラウンド後に過換気症候群(過呼吸発作)で倒れた。過度のストレスに悩まされる日々が続いた。

今大会が始まるまでの獲得賞金は857万円で37位だった。「このままシードが取れなかったら、辞めなきゃいけないかな…と、ついこの前まで、ずっと思っていました」。不調な時こそ夫の優しさに甘えたくなる。守られて生きるのもいいかな、と-。

だが、プロゴルファーとしての意地を捨てることはできなかった。孤独だったが、自分を信じてゴルフを続けた半年間が、ようやく報われた形だ。

1080万円のビッグマネーを勝ち取り、賞金ランクは17位に浮上。生涯獲得賞金も4億円を超えた。「本当に、私は運がいいんですね」と平瀬。ストレスや苦しみから解放された心からの笑顔が、そこにあった。(肥谷令子)

通算8アンダーで大会を制し、優勝杯を掲げる平瀬真由美=2000年9月3日、富士桜CC

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