広島カープの 大瀬良大地 投手が、ノーヒットノーランを達成した7日、ベンチ内ではただ一人、野間峻祥 選手だけ、大記録が進行中であることに気づいていなかった。なぜ、そんなことが起こりえたのか―。
コメンテーター 木村雅俊 さん
(中国新聞社 編集委員室 特別委員)
あの日の舞台でぼくが特に注目したのは、試合後に行われた 野間(峻祥)選手のヒーローインタビューなんです。
先制2点タイムリー 野間峻祥 選手(7日)
― 大瀬良大地投手がノーヒットノーランを達成しました。
「(大瀬良選手に)おめでとうございます」
― 球場はこの盛り上がりです。どのようにご覧になっていましたか?
「いや、9回になるまで気づかなくて…。すごい声援だなと思って。ああ、完封だしなあと思ったんですけど。スコアボードを見たらゼロだったので、一気に緊張しました」
◇ ◇ ◇
中根夕希 キャスター
これは、野間さん、トボけて笑わせているわけではなくて、本当に知らなかったんですか?
木村雅俊 さん
翌日、野間選手に確認したんですけど、9回の守りにつくまで本当に気づいてなかったということです。8回終了時からの胸の内も教えてくれました。
祝!大瀬良大地投手 ノーヒットノーラン達成 野間峻祥選手の胸の内…
野間峻祥 選手(取材に基づく)
「打席が回るから代打で交代かな…」
「あれ? 打撃手袋してる。完封に行くんや。防御率いいのに…」
「すごい歓声やな。みんな、完封を期待してるんか!?」
「うわ。ノーノーやん。マジか!」
青山高治 キャスター
「(笑)マツダスタジアムにいた3万人を超えるお客さん、あと両チームの選手、みんな知っていたと思うんですけど、野間選手はなぜ気づかなかったんですか?
木村雅俊 さん
広島ベンチは、5回終了時にほぼ全員が気づいたそうなんですけども、そこからみんな通常どおりの振る舞いに自然になっていったんですよ。野球ではよくあるらしいんですけど、大記録がかかった投手に無用なプレッシャーをかけないようにみんな、振る舞おうということになったらしいんですけども。
それが野間選手にとっては不幸の始まりで、菊地原毅 投手コーチの行動もどうも通常モードだったものですから、野間選手にとっては、それがわからないきっかけになっていくことになってしまうんですけども。
毎回終了後に菊地原投手コーチと大瀬良投手が体調の確認でお話するんですよね。記録のことは菊地原コーチは知っているんですけども、その隣りを常に野間選手は歩いて前を通っていったりする。それは野間選手にとってはいつもの光景なんですよ。
ノーヒットノーランではなくて、本当にいつもの光景が目の前で繰り返されているので、何も感じることなく、異変を感じることなく、毎回を過ごしていくという状況になっています。
青山高治 キャスター
大瀬良投手にふつうにしゃべりかけて、距離感もいつもどおり。大瀬良投手は、野間選手が気づいていないことを知らないってことですか?
木村雅俊 さん
はい。そうなんです。みんな、自然に振る舞ってくれる中で、野間は特にその中でも自然だったというふうな話なんです。
中根夕希 キャスター
(笑)人柄でもありますけど、でもナイスアシストですよね。
木村雅俊 さん
そうなんですよ。大瀬良投手が「実は…」と教えてくれたんですけども、一番笑ったのが菊地原投手コーチの顔で、「回を重ねるごとに近寄ってくるとき、顔がこわばっていた」と。
青山高治 キャスター
なるほど。実は大瀬良投手が意外に一番余裕があったのかもしれないですね。
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