連日熱戦が繰り広げられているバレーボール女子の「ネーションズリーグ」。パリ五輪への切符をつかんだ代表チームの強さに迫りました。エース古賀選手が「日本の生命線」と語るのが、高速バックアタック。身長差では不利となる日本チームが相手ブロックを惑わす「マッハ」と「ジェット」の戦略とは…手作り解説でお伝えします。

パリへの”切符”つかんだバレーボール女子

パリオリンピックへの切符をつかんだ、バレーボール女子の日本代表。6月15日の世界ランキングは7位で、ロンドンオリンピック以来、12年ぶりのメダルにも期待がかかります。

2人のキーパーソン

カギを握るのは、古賀紗理那選手(28)・石川真佑選手(24)の2人です。古賀選手は今回のネーションズリーグで、各国の選手の中でも3位の210得点をあげるなど、日本の“絶対的エース”として活躍。石川選手も160得点で8位につけています。(6月15日時点)

磨き上げた“高速バックアタック”

古賀選手が「日本の生命線」だと語るのが、「高速バックアタック」。

バックアタックとは、後方の選手が打つスパイクのことで、前の3人に加え攻撃の人数が増えるので、誰が打ってくるんだろうと、相手ブロッカーを惑わせることができます。

ただ、後ろの人は、アタックラインの後ろから打たなければいけないため、前の3人が打つよりも、ボールのコントロールは難しくなるんです。

さらに、日本チームの平均身長は約177cmで、海外チームの平均は約190cm(リベロ除く)と、10cm以上の身長差があるため、真っ向からの打ち合いは不利です。

そこで重要なのが、ブロックで待ち構える相手に的を絞らせないよう、様々な位置から「高速で打つ」こと。

実際のプレーで比較します。

「1秒以内」で惑わせる

例えば、中国チームは、セッターがトスをあげ、バックアタックまでに「1.05秒」かかっています。

日本チームは、トスからバックアタックまで、わずか「0.7秒」です。1秒以内に打つことを目標としています。

さらに、日本チームでは、セッターが自分の体の前側にトスするのを「マッハ」、後側にトスするのを「ジェット」と呼び、相手からすると、どこからバックアタックが飛んでくるのか、分かりづらくする戦術を磨いているのです。

52年ぶりの男女同時メダルに期待

さて、目指すはパリオリンピックでの表彰台です。

1964年の東京オリンピックで、金メダルを獲得し「東洋の魔女」と呼ばれ、68年には銀、72年も銀、76年には金、とバレーボールは“日本のお家芸”とまで呼ばれました。ですが、84年の銅メダル以降は成績が伸び悩みました。

最近では2012年の銅メダルがありますが、そこからの2大会は、メダルから遠ざかっています。

6月15日現在、世界ランクは男子3位と女子7位です。ミュンヘン大会以来、52年ぶりとなる男女同時メダルに期待がかかります。

(「サンデーモーニング」2024年6月16日放送より)

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