73回目を迎えた全日本大学野球選手権が6月10日に開幕。全国各地区野球連盟のリーグ戦や代表決定戦を勝ち抜いた王者が一堂に会して、春の大学日本一を決定する戦いが始まりました。

 関西からは、関西学生野球・関西六大学野球・京滋大学野球・近畿学生野球・阪神大学野球それぞれの連盟の優勝校が参加。第1試合では、関西六大学野球の王者である大阪商業大学が登場。1回戦で千葉県大学野球連盟の代表校・中央学院大学と対戦しました。

 昨年度までは、上田大河(西武)、高太一(広島)といったドラフトでも上位指名を受けた強力投手陣を擁してリーグ戦を連覇。大学選手権に駒を進めていた大阪商業大。今年度のリーグ戦は打撃陣の調子がなかなか上がらないなか、昨年度までは中継ぎとしての登板が多く先発としての出場機会がなかった鈴木豪太投手(東海大静岡翔洋)が大きく成長。少ない得点を投手陣が粘って守り切る戦いぶりで開幕から8連勝を飾って、見事リーグ戦を制覇。この春の大学選手権出場を決めました。

 強豪の中央学院大との対戦となったこの試合もリーグ戦同様、接戦での強さを見せます。先制点を奪ったのは、1回、中央学院大・清水一眞投手(共栄学園)の立ち上がりをせめて、福島大輝選手(倉敷商)、金原塁選手(クラーク記念国際)の2本ヒットで1アウト1塁2塁とチャンスをつくります。ここで、去年に3年生ながら大学ジャパンにも選出されて、今シーズンのドラフトでも注目を集めている渡部聖弥選手(広陵)に打順が回りますが、アウトコースの変化球に手がでず見逃し三振。2アウトとなって、打席にはルーキーの真鍋慧選手(広陵)。リーグ戦では、序盤は2番起用も終盤はクリーンナップの5番を任されて大器の片鱗をのぞかせていた1年生が、粘って5球目をライト前へ運びます。「大学に入ってから、構えを変えてリラックスしてバットがスムーズに出るようになった」と語っていた真鍋選手。待ち味の柔らかいバッティング先制点につなげました。

 1回に奪った1点、この1点を、成長著しい鈴木豪太投手が守り切ります。サイドハンドから140キロを超える速球と鋭い変化球で中央学院大打線に的を絞らせません。「去年まで上田(大河)さんというお手本が近くにいてくださって、どういう努力をしていけば投手として成長していけるか、とても参考になった。今年は、去年上田さんから教えていただいたフォークを球種に取り入れたことで、投球の幅がひろがっていいピッチングができている」と話してくれた鈴木投手。5回2アウトから、連続ヒットで満塁のピンチを背負いますが、ここをしのぐと、その後も中央学院大に付け入るスキを与えませんでした。許したヒットは5回の2本だけで、119球、9つの三振を奪う好投。完封でチームを勝利に導きました。1回戦を突破した大阪商業大、2回戦では今年春の東京六大学野球を制した早稲田大と対戦します。

 そのほか、関西のチームでは10日の1回戦で、ドラフト注目の選手も複数人いる京滋大学野球を制した佛教大が、四国地区大学野球の代表校・四国学院大と対戦。

 11日に行われる1回戦では、近畿学生野球のチャンピオン・和歌山大が広島六大学野球を制した広島経済大と対戦。阪神大学野球の覇者・天理大は北海道学生野球の代表・東京農大北海道オホーツクと対戦。リーグ戦でサヨナラ勝ちが4試合と驚異の勝負強さで今シーズン春の関西学生野球の王者に輝いた関西学院大は東京新大学野球の覇者・共栄大と対戦します。


 【全日本大学野球1回戦組み合わせ・結果】※関西代表
 ・6月10日
 大商大(関西六大学) 1-0 中央学院大(千葉県大学)
 佛教大(京滋大学) 対 四国学院大(四国地区大学)

 ・6月11日
 天理大(阪神大学) 対 東農大オホーツク(北海道学生)
 広島経済大(広島六大学) 対 和歌山大(近畿学生)
 共栄大(東京新大学) 対 関西学院大(関西学生)

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