第84回皐月賞 1着13番・ジャスティンミラノ(左)=14日、中山競馬場(岩川晋也撮影)

中央競馬のクラシック3冠の初戦、第84回皐月賞(GⅠ)はゴール前の最後の最後で〝見えない力〟が勝利を導いた。第4コーナーを回った直線、坂を上がってゴールまで70メートル、3頭が激しいつばぜり合いを演じた。先を行くジャンタルマンタル、追いかけるジャスティンミラノとコスモキュランダ。ググっと前に出たジャスティンミラノがそのまま首差で1冠目に輝いた。6日の落馬事故で10日に亡くなった「(藤岡)康太が後押ししてくれた」と、戸崎圭太騎手は涙ながらに宙を見つめた。

宙を見つめる戸崎圭太騎手=14日、中山競馬場(岩川晋也撮影)

昨年秋からジャスティンミラノを見てきた藤岡康騎手は皐月賞へ向けた追い切りで2週続けて手綱を執った。友道康夫調教師はレース後の会見で「藤岡康太騎手のご冥福をお祈りします」と号泣。「1週前の調教で、彼の〝最高でした〟という感想が、交わした最後の言葉になってしまった。ここまでよく育ててくれた」と振り返った。

落馬事故で亡くなった藤岡康太騎手。35歳だった(岩川晋也撮影)

最初の1000メートルを57秒5という非常に速いペースにジャスティンミラノも戸崎騎手も一時は戸惑った。「速い流れでもリズムを大事にして直線までいければと。3、4コーナーで手応えが怪しくなったが、直線を迎えたら、また反応してくれた」と懸命に立て直すことに成功すると、0秒7更新する1分57秒1のコースレコードが生まれた。

第1関門は通過。次はもちろん2冠目のダービー(5月26日、東京競馬場)。戸崎騎手は「康太ありがとう。ダービーに向けてパワーアップしていい状態になると思っている。僕自身、2着2回。皐月賞を勝てたことでチャンスに巡り合えたことを感謝して、ダービーまでの日々を過ごしていきたい」。友道調教師も「これから2冠目を狙いにいきたい。普段通り、今までのパターンでやっていく」と意欲を示した。

無敗の3連勝で最高の舞台に挑む。ここで勝ってこそ、藤岡康騎手への感謝と弔いになる。

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