2Kのテニスゲームシリーズの最新作「TopSpin 2K25」(PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One)が2024年4月26日に発売する。リアル志向である2Kのスポーツゲームの例にもれず,シミュレータ寄りのゲームである本作は,13年ぶりの新作であり,当然ながらグラフィックスも大幅にアップグレードし,モーションキャプチャを利用して,よりリアルな動きを追求している。


 今回はそんな本作の先行体験会に参加してきたので,そのプレイフィールと,ゲーム・ディレクターであるレミ・エルコラーニ氏のインタビューをお届けしよう。


ジョン・マッケンローから教わるテニスアカデミー


 スポーツゲーム全般に言えることでもあるが,テニスゲームには「マリオテニス」のようなカジュアルなものと,「TopSpin」シリーズのようなリアルなものが存在する。筆者はどちらかというとカジュアルなテニスゲームを楽しんできたタイプで,リアルなものはゲームセンターで「パワースマッシュ3」をちょろっと遊んだ程度。テニスのルールは理解しているし,なんとなくどうすればいいかも分かるが,本格的にプレイするとなると,ちょっと不安がぬぐえない。

 そんな筆者のようなプレイヤーに役立つのが,「TopSpinアカデミー」だ。グランドスラム(四大大会)のシングルス優勝7回,ダブルス優勝9回という伝説的なテニス選手のジョン・マッケンローさんがトレーニングをつけてくれるタイトルで,励ましや注意をもらいつつ,テニスを学んでいける。ボイスには,マッケンローさんの肉声が収録されているという。


 「TopSpinアカデミー」ではゲームの基本から学べる。コートでの立ち位置,基本の打ち返し方,狙って打ち返す方法,打ち返すタイミング,サーブの打ち方,そして実戦形式で得点を取る方法といった具合に,丁寧に無理なく順番に教えてくれる。アカデミーをクリアできれば一端のテニス(ゲーム)プレイヤーになれるだろう。
 よりテクニカルなことを教えてくれる上級アカデミーも存在する。今回の先行プレイ版ではプレイできなかったが,上達するための道しるべはしっかりと用意されている印象だ。

ジョン・マッケンローさんが懇切丁寧に教えてくれる。ひとつずつテニスのルールやゲームの使用を学んでいける

 今回の先行プレイではオフラインでCPUと対戦するエキシビションも体験できた。過去から現在に至るまでに活躍した24人以上の伝説的なテニス選手を使って対戦できるゲームモードだ。ロジャー・フェデラー選手やアンドレ・アガシ選手,大坂なおみ選手などそうそうたる顔触れとなっている。試合会場は世界中の有名テニスコートが用意されており,観客の歓声を受けながらプレイできる。

 アカデミーで学んだことを生かすため,最初は先行プレイで選べる最高難度“ベリーハード”に挑戦してみたが,手も足も出ず,1セットも取れずに敗北。気を取り直してノーマルに挑んでみたところ,激戦の末に勝利を収めることができた。素人目に見るとどう強さが変わってるのか,よく理解はできていないが,逆に言えばそれはちょうどいい難度調整が行われているということなのだろう。

自分に合った難度の相手と戦えるエキシビション。上達してより難度の高い相手に勝てるようになると気持ちいいだろう

 試合中はプレイによって観客の歓声が漏れたり,選手のリアクションだったりとかなり没入感の高いプレイが楽しめる。キャラクターの動きもリアルで見ていて面白い。プレイしていくうちに,どう動けばいいのかも分かっていき,自分の成長も感じられ,ゲームとしてよくできているのが分かる。

 今回はプレイできなかったが,本作にはこのほかにも自分のキャラクターを作って四大大会へと挑む「マイキャリア」モードも用意されており,駆け出しのテニス選手からの成長を楽しめるようになっている。また,クロスプラットフォームでのオンライン対戦にも対応しており,世界中のプレイヤーとの対戦を楽しめるとのことだ。


レミ・エルコラーニ氏インタビュー


 「TopSpin 2K25」の開発は「マフィア」シリーズで知られるHangar 13が担当している。ゲーム・ディレクターのレミ・エルコラーニ氏は,「TopSpin」シリーズの2〜4の開発に携わった人物である。「TopSpin 4」ではゲーム・デザイナーとして,モーションキャプチャのディレクションやアニメーションの実装,プレイヤーの行動分析を行いながらバランス調整などを担当していたという。

 Hanger 13では「マフィア3」の開発に携わり,プレイヤーコントロール,コンバット,カメラの開発を担当した。その後,テニスというスポーツと「TopSpin」というフランチャイズに対して個人的な情熱を持っていたエルコラーニ氏は,「TopSpin 2K25」の開発に乗り出していく。エルコラーニ氏は20年以上テニスをプレイしており,インディアンウェルズのイベントなどに,観戦者として参加するほどとのことだ。


――よろしくお願いします。13年ぶりの「TopSpin」シリーズの新作を開発した理由を教えてください。

レミ・エルコラーニ氏:(以下,エルコラーニ氏)
 有望な若手スターの活躍やNetflixの番組で,テニス界とポップカルチャーが絶妙に調和しつつあるんです。「TopSpin 2K25」にとって,今がリリースの絶好のタイミングだと思い,開発しました。2Kとしてもトレンドに寄り添えることを大変うれしく感じています。

――スポーツゲームはカジュアルなものと,「TopSpin」シリーズのようなリアルなものに分けられると思います。リアル系のスポーツゲームを作る理由と,その利点を教えてください。

エルコラーニ氏:
 2Kスポーツのゲーム全般で,リアル感や臨場感を追求しています。実際にスポーツをやっている人,見ている人に高い再現性を持ったゲームをプレイしてもらいたいというのが,我々がリアルなスポーツゲームを作る理由です。とはいえ,ハードコアなゲームではなく,実際のスポーツを知らない人でも楽しめる作りになっています。

 我々がリアルなスポーツゲームを作るうえで大切にしていることは「長く遊べること」です。何十時間プレイしても新しい発見があったり,新たな戦術を見つけたりといった,実際にスポーツをしているような感覚で深さを感じてもらいたいと思っています。

――今回の先行プレイ版では大坂なおみ選手がプレイアブルでしたが,ほかに日本人選手を追加する予定はありますか。

エルコラーニ氏:
 具体的なことに関しては今後の発表を待っていただきたいところですが,もちろん選手を追加する予定はあります。私自身は日本人テニスプレイヤーの錦織 圭選手が大好きなので,個人的には彼をゲームに追加したいと思っています。

――エルコラーニ氏のお気に入りのモードと選手を教えてください。

エルコラーニ氏:
 個人的に大好きなのはロジャー・フェデラー選手です。今回,モーションキャプチャを撮ったおかげで実際に本人とも会うことができて,ますますファンになりました(笑)。彼のフォアハンドやバックハンドの動きは,モーションキャプチャによってゲームで再現されているので,それを楽しみながらプレイしています。

 ゲームモードはどのモードも楽しいので,一つを選ぶのは難しいですが,個人的にはワールドツアーが一番楽しいですね。四大大会を目指して,よりリアルなテニスの試合を味わってもらいたいです。

――13年ぶりの新作ということで,待ち望んでいたファンもいるかと思います。そういった人たちに向けてメッセージをお願いします。

エルコラーニ氏:
 私自身も待ち望んでいるファンの人たちと同じ気持ちで,テニス自体も大好きで,大会も頻繁に観戦するような大ファンなんです。13年ぶりのこの新作をプレイするのを私も楽しみにしています。
 13年の時を経て,最先端の技術を使ってグラフィックスも綺麗になりましたし,モーションキャプチャを使ってよりリアルな動きを再現しています。長く遊べるように作っているので,いろいろなゲームモードを楽しんでいただけたらと思います。

――ありがとうございました。

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