【ニューヨーク=竹内弘文】米運用大手キャピタル・グループと米投資ファンド大手のKKRは23日、両社の投資戦略を融合した商品を2025年以降、準富裕層向けに提供すると発表した。「プライベートクレジット」と呼ばれるファンドの企業融資と、公社債投資を組み合わせる。両社の強みを生かし、個人向けプライベート運用商品の販路を広げる狙いだ。
キャピタルは公社債や上場株式の運用に定評があり、4月末時点で約2兆6000億ドル(約408兆円)の運用資産を持つ。KKRは3月末時点で5780億ドルの運用資産を持ち、プライベートエクイティ(未公開株投資)やプライベートクレジット、不動産などが大半を占める。株式市場や銀行の仲介を経ないことからプライベート資産と呼ばれる。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、キャピタルとKKRが25年に投入する商品はキャピタル運用の公社債投資が約6割、KKR運用のプライベートクレジットを約4割で構成するハイブリッド型になる。
キャピタルのマイク・ギトリン社長兼最高経営責任者(CEO)は声明で「KKRとの戦略的提携のもと、長期的な計画と願望をもって、この(プライベート資産運用の)市場に参入する」と説明した。単発の運用商品の投入にとどまることなく継続的にハイブリッド型の商品開発を進める構えだ。
上場株など伝統的金融資産での強みを持つ運用会社は、顧客ニーズの高まりに対応すべくプライベート資産運用への傾斜を強めている。世界最大の運用会社、米ブラックロックは23年6月、欧州のプライベートクレジット運用大手の買収を発表。米ティー・ロウ・プライスもプライベートクレジット運用会社を傘下に収めた。
KKR側にとっても提携の果実は大きそうだ。KKRの共同CEOを務めるジョー・ベイ氏とスコット・ナトール氏も声明で「顧客との強固な関係やトップクラスの販売・流通網を持つキャピタルと提携することに興奮している」とコメントした。
KKRは富裕層など個人向けの商品のリーチを広げるため、販路を持つ金融機関との提携を進めている。23年には日本のSBIホールディングスとの提携で基本合意した。
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