九州経済調査協会は24日、九州・沖縄・山口への半導体関連の設備投資による経済波及効果が、2021年からの10年間で合計23兆300億円にのぼるとの推計を発表した。地場企業の細かな投資動向を新たに調査し、前回推計より2兆9000億円上方修正した。地場企業による設備投資だけで1兆2570億円の経済効果があることもわかった。
21年から30年までの10年間で実施・計画されている、半導体関連で1億円を上回る設備投資を対象に分析した。後工程世界最大手の台湾・日月光投資控股(ASE)が北九州市で検討中の用地取得案件は投資額が判明しないため対象外とした。
推計では10年間の総投資額は6兆1820億円、生産額は7兆8850億円にのぼる見通しだ。経済効果の内訳をみると設備投資関連で8兆4090億円、それに伴う生産活動関連で14兆6210億円を見込む。県別では熊本が13兆3890億円と全体の58.1%を占めるほか、長崎の2兆5550億円(11.1%)、福岡の2兆1050億円(9.1%)と続いた。
今回から九州・沖縄と山口県にある地方銀行13行の連携協定「Q-BASS(キューベース)」と協力し、九州圏の企業動向も調査した。地場企業に絞った総投資額は1190億円、生産額は5960億円の見通しとなった。大手企業の地域子会社などは除いた。
九経調は24日、九州・沖縄の25年度の経済成長率(物価変動除く実質)が1.4%になるとの見通しも発表した。民間消費の回復と旺盛な設備投資によって全国を0.2ポイント上回る。実質域内総生産(GRP)は54兆2000億円で、過去最高額を3年連続で更新する。
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