アーケードや複合商業施設があり多くの人が集まる岩手県盛岡市の肴町商店街の一角にあるのが1960年創業の老舗平船精肉店だ。

店頭には様々なお肉が並んでいるが、その隣には回転式ロースターがある。中でじっくりお肉が焼かれていて、きつね色でとってもおいしそうだ。

販売から半世紀以上にわたって盛岡市民に愛されてきた鶏もも肉のローストチキンは、回転式ロースターの中で約1時間じっくりと焼き上げられる。

クリスマス前の一番忙しいこの時期に、黙々と調理しているのは店主の竹林誠さんだ。

店主の竹林誠さんによると「味付け自体は醤油と生姜がベースになったとてもシンプルなもので、飽きのこないさっぱりした味付けになっているのが特徴」だという。

また、普段で1日に300本くらい、12月20日から25日くらいまでの間になると4500本が1日に販売されるという。

骨付きローストチキンは、鶏の旨味が溢れ出してきて、ショウガ・しょうゆを利いていてでもさっぱりしている。
香り豊かで何回でも繰り返し食べたくなる味が50年以上も愛されてきた理由だ。

竹林さんは「このローストチキンの販売は、1965年に先代が試行錯誤してこの味にたどり着いて、それをそのまま味を変えずに引き継いでやっていた」と話す。

店を継ぐ人がいなかったため存続が難しくなっていた平船精肉店だったが、創業者の平船繁さんが事業の引継ぎを支援する県の機関に後継者探しを依頼した。
そこで独立を目指していた竹林さんと出会った。

事業承継の条件の一つに「ローストチキンの味を守ること」があったという。

竹林さんは当時、サラリーマンをしていたが、もともと商売に興味があった。

店主 竹林誠さん
「事業継承のお話をいただいた時は、まさかここのお店だとは思ってないかったので、名前を知った時にはびっくりしたんですけど、とてもうれしく思った。50何年もずっと続けてきた味なので、地域のためにも無くすのは選択肢としてはない、そのまま先代が守ってきたものをそのまま私が継続させてもらっている」

家族3代でここのチキンを食べているというお客さんもたくさんいるという。

来店客
「もう10年くらいは通っている。おばあちゃんが大好きで、やっぱりなくてはならないチキン屋さんなのであってほしい」
「盛岡に来て1年、来た時から買いに来ている。肴町に出てくれば夜のおつまみに買うようにしている。店頭で焼かれていて手作りで親しみがある」

店主 竹林誠さん
「先代との約束で創業100年目指すとしている。平船精肉店として、ここでこの店として100年目指す」

事業を引き継ぐというカタチで守られた盛岡のソウルフード。
平船のローストチキンはこれからもクリスマスの食卓をおいしく彩る。

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