舞台は愛知県日進市。小さな箱をたくさん作ることで「リビングどーん! 庭ばーん!」という妻の希望を叶え、広々としたリビングと庭を手に入れた家を紹介する。

正面からはシンプルな箱のような建物

 住人(アルジ)は、幼い子どもがいる3人家族。今年、建築家の夫が設計して新居を建てた。家は、正面からはシンプルな箱のような建物があるだけに見えるが、実は箱が5つ集まったような形になっていて、正面の箱の向こう側に玄関がある1つ目の箱が現れる。

天井高4.2メートルの開放感抜群なリビング。全方位に窓を設け、どこを見ても視線が抜ける

中に入ると、天井高4.2メートルの、柱もない開放感いっぱいの明るいリビングが広がる。外には大きな庭も。1つ目の箱が目隠しの役割を果たし、道路からは中が見えないようになっている。家を上から見てみると、道路に面した箱が1つと、リビングの四隅に4つの箱が配置されているという形。大きさと高さが違う箱が5つあることで、周囲からの視線を遮るだけでなく、箱の隙間の全方位に窓を設けることができた。窓からは光と風が入り、どこを見ても視線が抜けるので面積以上にリビングが広く感じられるという。


 結婚後、賃貸マンションで暮らしていた住人(アルジ)一家。しかしコロナ禍で生活が一変し、妻はワンオペ育児で閉じこもった生活になった。そこで広々としたリビングと大きな庭でのびのびと子どもを遊ばせたいと、家を建てることに。その頃に見つけたのが、空き地になっていた土地。古い住宅街だったが、周囲も建て替えが進み世代交代が始まりかけているような場所だった。そこで夫は、周りにどんな建物が建ってもいいようにと、プライバシーを守りつつ広々とした開放感のある家づくりを目指した。

妻が希望した「リビングがドーン! 庭バーン!」

そんな中で妻が出した希望が「リビングがどーん! 庭がばーん!」。それを実現するため、必要最小限の部屋をコンパクトな箱にして、敷地のできるだけ外側に置くことに。そして箱に屋根をかけて、その下を全部リビングにした。こうして箱で周囲の視線を遮りながら、開放感のあるリビングと庭のある家が完成したのだった。

キッチンの上にある大きな窓 換気扇はレンジフードのない簡易的なタイプ

 リビングの隣にはすっきりとしたキッチン。天井が低いのは、キッチンの上の窓をできるだけ大きく取るためで、その分、キッチンの換気扇はレンジフードのない簡易的なタイプで済んだという。レンジフードも柱もないので、キッチンに立っていても開放感が感じられる。
 作りつけのキッチンカウンターも妻の要望で、手元が隠れるよう立ち上がりをつけ、急な来客時でもキッチンの内側が見えないようになっている。実は妻は会社を立ち上げたばかりで忙しく、家事時短の工夫を随所に設けたという。

洗濯機のある物干しスペースと家族全員分のクローゼットの2つに分かれている

 キッチン横にある2つ目の箱の中は、ランドリールーム。箱の中は2つに区切られていて、洗濯機がある室内干しスペースと、家族全員分のクローゼットになっている。室内干しスペースの奥は浴室。だが水回りを集めた箱には、洗面スペースがない。これも妻の希望で、マンション時代の洗面台は別室にあったため、エアコンが効かず、子どもから目が離れてしまう。そこで、洗面台はリビングに設けたという。

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