日本損害保険協会は自動車ディーラーなどの代理店が保険会社を指定し、特定の自動車保険を勧める「テリトリー制度」を見直す。城田宏明会長(東京海上日動火災保険社長)は19日、都内で開いた記者会見で「代理店の独自基準で推奨損保を選定するものは認められない」と踏み込んだ。
これまで複数の保険会社の商品を取り扱う代理店は必ずしも顧客の意向ではなく、物品購入など代理店への貢献度によって推奨する損保を決めていた。保険会社は推奨損保に選ばれるために過度な便宜供与を行い、ゆがんだ関係につながっていた。
金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会は13日にまとめた報告書で、顧客の意向に沿った商品をすすめることを徹底するよう保険代理店に求めた。ただ、テリトリー制度は損保側と代理店側が長年続けてきた商慣習で、損保会社の判断だけで変えることはできない。損保側は代理店と交渉を進めている。
損保協は、第三者が代理店の業務品質を評価する項目や運営方法を定めた指針案の意見募集も20日から始める。指針案には顧客本位の業務運営の遂行や適切に比較推奨販売ができているかなどを盛り込んだ。2024年度中の完成をめざす。
複数の損保会社が保険金支払いのリスクを分散して引き受ける「共同保険」については、新たな組成方式を検討する。シンジケートローン(協調融資)を参考にした「アレンジャー方式」と、各保険会社の保険料を統一せずに組成する「ディファレンシャル方式」を候補に挙げた。
従来の共同保険は組成する過程で、低い保険料を提示した幹事会社に他の保険会社が保険料を合わせるビジネス慣行が起きやすく、企業向け保険料を事前調整する問題の一因になった。方式を変更することで再発防止を図る。
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