ネット通販大手のアマゾンが、きょうからふるさと納税事業に参入します。来年10月には仲介サイトの付与するポイントの禁止がせまるなか、外資の“黒船襲来”で返礼品をめぐる競争環境に大きな変化が予想されます。
アマゾンジャパン ジャスパー・チャン社長
「全国の地域経済と社会への貢献を目指した新サービス、アマゾンふるさと納税の開始を発表させていただきます」
きょうから段階的にサービスを開始する「アマゾンふるさと納税」。
おなじみのアプリやサイトにも「ふるさと納税」の表示が新しく追加されました。
全国およそ1000の自治体が「アマゾンふるさと納税」で寄付を募っていて、利用者はアマゾンでの普段の買い物と同じように、30万の返礼品から選んで自治体に寄付ができます。
強みとするのは日本全国に張り巡らされたアマゾンの倉庫や物流配送網です。最短で寄付した翌日に返礼品が自宅まで届きます。
自治体からは参入に歓迎の声が…
北海道上士幌町 竹中貢 町長
「寄付してから返礼品が自宅まで届く時間が長い、もう少しスピードアップしてくれないだろうかという要望がたくさん出されております。アマゾンの物流システムは翌日配送が可能になるということであります。寄付者にとっても、自治体にとっても最高のサービスだと思って、直ちに参加させていただきました」
◆過熱する返礼品競争の環境に変化?
ふるさと納税の寄付総額は昨年度、初めて1兆円を突破。返礼品競争もあいまって、ふるさと納税の市場規模は拡大を続けています。
ふるさと納税仲介サイトの間でも、利用者の獲得競争は激しくなっていて、利用者が多い4つの仲介サイトのうち、老舗の「ふるさとチョイス」を除く「楽天ふるさと納税」「ふるなび」「さとふる」では寄付に対して、高い還元率のポイントを付与するなど競争が過熱。
制度を所管する総務省は、ふるさと納税制度の趣旨にそぐわないとして、来年10月から、ふるさと納税仲介サイトが付与する独自のポイントの禁止に踏み出しました。
こうしたなか“黒船”のごとく割って入ることになるアマゾン。
サービス開始当初から、ふるさと納税の寄付による独自のポイントを付与しない方針です。
ただ、物価高が続くなか、米などの食料品やティッシュなどの日用品のニーズが高まっていて、翌日配送を強みとし、使い慣れた人が多いアマゾンに利用者が一気に流れる可能性もあります。
ポイントの禁止に加え、強固な物流網を持つアマゾンの参入で、ふるさと納税をめぐる競争環境は大きく変わることになりそうです。
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