今年のゴールデンウイーク(GW)の旅行は、円安などの影響で海外よりも国内が主流になっている。そんな中、旅行先として大阪が複数の旅行会社の調査で人気が下落していることが分かった。旅行会社などは理由は判然としないとした上で、インバウンド(訪日客)でにぎわう大阪の混雑を避けたい意向の表れを指摘する。ただ東京の人気は上昇し、千葉も高い人気を維持していることから、東西で差が生まれている。
今年のGWは休日が前半の3連休と後半の4連休に分かれることに加え、円安や物価高を避ける傾向から海外旅行は韓国や台湾など近場以外の人気が頭打ちとなっている。一方の国内の旅行者数は、JTBが前年並みの2280万人と推計する。
そんな中、旅行先として大阪の人気が前年より落ちる傾向がみられた。近畿日本ツーリストの旅行販売高ランキングで前年3位だった大阪府が今年は6位に、HISの予約者数ランキングでも前年の5位から7位にダウンした。
HISの担当者は「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)などがあり、今年も大阪の人気は高い」と強調するものの、別の業界関係者は「大阪は訪日客が多く、ホテル代も高い。混雑を避けたい意識が働いたのでは」と分析する。
JTBのアンケートでは、GWに旅行に行かない理由として「混雑するから」が47・2%と最多で、前年から4・7ポイント上昇。国内と答えた人で旅行先を選んだ理由として「観光客などで混雑してなさそうだから」が前年比4・5ポイント上昇の7%と最も上昇率が高く、「混雑する大阪」が敬遠されたとみられる。
近ツーの調査では、訪日客でにぎわう京都府が10位内に入らなかった一方、訪日客の人気が低迷する兵庫県は前年6位から5位に順位を上げた。
ただ、大阪と同様に訪日客が多い東京都は前年の7位から首位に上昇。前年トップだった千葉県は2位となり、首都圏は混雑が見込まれながらも人気を維持している。同社の担当者は「首都圏は東京ディズニーリゾート(千葉県)の人気に加え、新たなテーマパークやホテルの開業もあり、観光客の受け皿が増えている」と指摘する。
人気の国内旅行だが、国内の宿泊代も軒並み値上がりしており、観光地のホテルではGW中に直近の2~3倍や、施設によっては4倍以上に跳ね上がっているとの声が聞かれる。JTBの調査では、1人当たりの平均旅行費用は前年比3・7%増の3万6100円と上昇。国内旅行でも物価高の影響が避けられない状況だ。(田村慶子)
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