経済産業省は17日、「可能な限り原発依存度を低減する」という文言を削除した次期エネルギー基本計画原案を有識者会議に提示した。写真は神奈川県中井町の太陽光発電施設で2016年3月撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)
経済産業省は17日、「可能な限り原発依存度を低減する」という文言を削除した次期エネルギー基本計画原案を有識者会議に提示した。AI(人工知能)の広がりなどで電力需要が増加する中、脱炭素電源の確保が産業競争力に直結することから、エネルギーの安定供給へ原発を含めて最大限活用する方針を打ち出す。
エネルギー基本計画は3年に1度改定しており、次期計画は今月内に取りまとめる。
デジタル化やクリーンエネルギー化の進展で電力需要の増加が見込まれる中、それに見合った脱炭素電源を確保できるかが国の産業競争力に直結すると指摘。エネルギーの安定供給、経済成長、脱炭素の同時実現を目指す。「エネルギー安定供給と脱炭素を両立する観点から、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスの取れた電源構成を目指していく」とした。
半導体の省エネ性能向上、光電融合などの最先端技術の開発・活用、データセンターの効率改善などのほか、住宅などの省エネ化の推進などに取り組む。こうした徹底した省エネ、製造業の燃料転換などを進めるとともに「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用する」と唱えた。
原子力については、2040年までに既存の原発のうち300万キロワット以上が運転期間60年に到達し、供給力が大幅に失われることを踏まえ、次世代革新炉の開発・設置に取り組む。現在は廃炉を決めた原発と同じ敷地内に限定している建て替えを、同じ電力会社の他の原発の敷地内でも容認する。
次期エネ基では、2040年度の再生可能エネルギーを4―5割程度(23年度は22.9%)、原子力は2割程度(同8.5%)、火力は3―4割程度(同68.6%)とした。
「原発依存度を低減する」という文言は、東日本大震災後の2014年に策定した計画で盛り込まれ、その後、維持されてきた。ロシアによるウクライナ侵攻に伴う資源価格高騰を受け、岸田文雄政権時の「骨太の方針」で原発の「最大限活用」を打ち出していた。
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