あの衝撃から9カ月、今度こそ宇宙へ。14日、和歌山県串本町で民間ロケット「カイロス」が打ち上げに再挑戦する。 高まる地元の期待を総力取材した。
■【動画で見る】「カイロス初号機」爆発から9カ月 『カイロス2号機』宇宙への「リベンジ」
■再挑戦を前に現場は
この記事の画像(11枚)民間のロケット発射場がある和歌山県串本町。再挑戦を前に現場はどうなっているのか。
記者リポート:ここがロケット発射場の入り口でしょうか。木々の向こうに発射場があるんですがここから姿を見ることはできません。
■ことし3月 まさかの爆発
ことし3月、宇宙に向け発射された民間ロケット「カイロス」は、発射からわずか5秒後にまさかの爆発。 見学会場では多くの人が期待を寄せ見守っていたが、ロケットは現れないままだった。
アナウンス:爆発して機体がばらばらになったと。
見に来た人:え!!
見に来た人:残念…ああ悲しいな悲しいな
■再挑戦を前に地元の高まりも
あの衝撃から9ヵ月。ついに14日、宇宙へのリベンジを目指して「カイロス2号機」が打ち上げられる。再挑戦を控え、一体地元はどうなっているのか。
記者リポート:橋杭岩のすぐそばにあるお土産物屋さんに入ってみると、ロケット関連のグッズがたくさん並んでいます。
和歌山県内から見に来た人:『ロケットサイダー』(を買った)。あすの打ち上げを見に旅行できたので。打ち上げの成功祈願で買いました。
店によると前回の打ち上げの後、店に並ぶ関連グッズの種類は3~4倍に増えたという。
道の駅「くしもと橋杭岩」小川内浩さん:買い物に来たお客様から、『打ち上げ頑張ってください』とお声がけをたくさんいただくので、(店の)スタッフとしてもうれしく思っています。
■人工衛星をかたどったカステラ
さらに近くの菓子店では再挑戦に向けた新商品を開発。 カイロスに搭載される人工衛星をかたどったカステラ。
和洋菓子an寿an店長 矢本之寿さん:人工衛星を衛星軌道上に無事届けて最後まで運用されるようにという思いで作ってみました。僕たちも頑張るので、カイロスも頑張ってほしいです。
■串本三姉妹 今年はクリスマスケーキを用意してパーティー
そして9カ月前…打ち上げ場所近くで見守っていた串本の三姉妹が。
三姉妹(ことし3月):お、来た!あがったあがった。落ちたん?落ちた!
12日、再び三姉妹を訪ねると、次女の芳子さんは、骨折で入院中とのことで不在でしたが、2人に会うことがでました!
長女・初子さん(87):え、落ちたん!ってがっかりしましたねあの時は。
三女・康子さん(74):今度こそ。ワーって盛り上がりたい。
前回はロケットの発射を前にちょっと気の早い「打ち上げパーティー」を開いていた三姉妹。
長女・初子さん(87):打つ前にパーティーしようって食べたのよ、いや~これ失敗だったんだなだから成功しなかったのかしら?と思って…。
和歌山南部駐在 堀カメラマン:それはないと思いますよ
今回はクリスマスケーキを用意してパーティーするそうです。
長女・初子さん(87):過去は過去、14日は私たちの『ビッグデイ』だから
三女・康子さん(74):とにかく頑張って成功してくださーい!」
■串本古座高校「宇宙探求コース」 出店の準備
また、打ち上げ成功にかつてない期待を寄せる高校がある。ことし4月、国内の公立高校で初となる「宇宙探求コース」が設置された串本古座高校。 12日は、当日、見学会場に出すという「ロケットまぜそば」や「チュロス」の準備に追われていた。
生徒:あっつ!お前これちゃんとやれって。
生徒たちに意気込みを語ってもらいました!
生徒たち:カイロス頑張るぞ、おー !
和歌山南部駐在 堀カメラマン:弱いな。ガツン!といこう。
TAKE2では…
生徒たち:カイロス頑張るぞ、おー。
■地元の消防隊が非常事態に備え訓練
一方で、考えたくはないですが…
前回、爆破した直後に炎が広がり瞬時の対応に追われた消火活動。地元の「古座消防署」では、14日に向けての訓練が行われていた。 打ち上げ現場は、特殊な場所となり、普段ほぼ使わないという装備を使用する。
古座消防署 前川修身署長:ジェットシューターという装備です。
中には18リットルもの水を入れることができ、これを背負うと…
古座消防署 前川修身署長:シリンダーを前後することでここから水が(出ます)。山が険しくてホースが延長できないといった場面で、これを使って消火にあたります。
万が一の備えはばっちり!
■町長「寝んでもいいですね」 町全体で期待高まる
町全体が14日の打ち上げを心待ちにしている。
串本町 田嶋勝正町長:”本州最南端のまちからロケット最先端のまちへ”そのキャッチフレーズのもと串本の発展に向けて努力したい。 (Q13日の夜は眠れそうですか?) きょう(13日)はもう眠れないですね。寝んでもいいですね。あした(14日)まで起きておこうと思います。
リベンジ成功なるか!あす(14日)午前11時に打ち上げ予定だ。
■1号機の失敗は機体が原因ではない
民間ロケット「カイロス」2号機は1号機から機体の変更はほぼないそうだ。そして1号機は人工衛星ひとつ搭載されたのだが、2号機には、人工衛星が5つ搭載される。
吉原キャスター:前回は、発射後、すぐに爆発したカイロスですが、機体の変更はほぼないということですね?
神崎博 関西テレビ報道デスク:前回の打ち上げも機体にトラブルがあったではなく、ロケットの推進力の計算間違えいて、スピードがあまりでなかったので設定の範囲から違うところに行ってしまったというところで、爆発させた。 今回はちゃんと計算しなおして、きっちりと設定の範囲で飛ぶようにしているので、機体には問題なかったのでこのままいけばうまくいくのではないでしょうか。
■人工衛星の経済波及効果は絶大 串本にも潤いがやってくる
newsランナーコメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡さんに宇宙ビジネスの可能性を聞いた。
藤井聡 京都大学大学院教授:初の民間ということですから、今までは政府がやってきたわけですが、人工衛星が1つ飛ぶことによってものすごく劇的ないい影響を受けるんですよね。 5つ載るとなったらまたすごく可能性が広がって、そこでビジネスがひろがってキャッシュが流れて経済が活性化して串本にも潤いがやってくる。いいことばっかりの話。 日米の間で(宇宙開発の)格差が広がっていますから何とか世界標準のところまでもっていってもらいたい。最先端までいってもらいたいです。
ロケット開発競争は世界でも激化しているなかで、日本も乗り遅れないように、という期待も背負いながら、カイロス2号機はいよいよ14日午前11時打ち上げ予定だ。
(関西テレビ「newsランナー」2024年12月13日放送)
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