ニット製品の企画や製造販売を手掛ける益田市のみやこ編物が、東京地裁から9日付で破産手続きの開始決定を受けたことが分かりました。負債総額は、約2億5000万円となっています。

東京商工リサーチによると、みやこ編物は、福岡県北九州市出身の故齋藤都世子さんが、戦時中に疎開した益田市で1956年に益田市で創業、1972年に法人化しました。独特のニット編み込み技法で作られた高級婦人服の発売やオリジナルの糸の販売により業容を拡大。好況期には、札幌から福岡まで6か所の事業所を展開したほか、島根県西部を中心に編物教室の運営なども行っていました。

「齋藤ニット」の作品は、京都で糸から作り、日本製にこだわって編みもすべて益田市で行い、市の産業振興にも貢献していました。また1995年には、齋藤都世子氏が素材の工夫、改善や編み機の開発などを通じ生産効率向上に寄与したとして「現代の名工」にも選ばれました。

メディアや雑誌などに取り上げられることも多く、アメリカのカーネギーホールなど海外でファッションショーを開催するなど「齋藤都世子ブランド」として知名度を高め、ピーク時となる1987年7月期の売上は約41億円を計上していました。しかしその後の競争激化、市況悪化の影響を受け、業績は下降線をたどりました。新型コロナ感染拡大で営業活動が困難になったほか、全国代理店の減少などもあり、近年の売上が1億円前後で推移していました。業況が好転する材料が乏しく、事業継続を断念し、12月5日に東京地裁に破産申請し、9日に破産開始決定となりました。負債総額は、約2億5000万円となっています。

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