過去最多のペースで増えている飲食店の倒産。
その原因の1つとされるのが、働き手の不足です。
こうした中、最近利用者が急上昇している、あるサービスを取材しました。
鶏のモモ肉を次々とさばくプロの職人。
重さを量ってみると、51グラム、55グラム、54グラムと誤差の範囲内でほぼ同じグラム数です。
神業ともいえる包丁さばき。
人手不足に悩む飲食店で、とても助かっているといいます。
東京都内にある食品卸の会社「プレコフーズ」。
主に個人経営の飲食店向けに、手間のかかる食材の仕込みの代行をしています。
例えば、ミリ単位のオーダーで豚バラ肉をスライス。
時間がかかる焼き鳥用の鶏肉を串に刺す作業や、チャーシューの型崩れを防ぐ糸巻きなど、店が出す個別のオーダーに対応しています。
ほぼ同じグラム数で鶏肉をさばく佐藤淳さんは、肉の加工技術を競う社内コンテストで最高位の「達人」に初めて選ばれました。
株式会社プレコエムユニット 東京ベイセンター 生産加工課 課長・佐藤淳さん:
長年(19年目)の経験で体に染みついているものがある。グラムで切り分けることができる。
仕込みの他にも、売れるメニューを店と一緒に開発するなど、街の飲食店の味を支えています。
株式会社プレコエムユニット 代表取締役社長・岡本哲也さん:
(飲食業界は)非正社員率が高い業界。なかなかアルバイトが採用できない。仕込みを代行することで、人件費の削減に役立てればと思う。
2024年3月からこのサービスを利用する飲食店「食堂チャチャチャ」。
ランチの一番人気は、豚肉・鶏肉が盛りだくさんの定食。
人手不足のため、肉の仕込みは代行サービスに任せています。
食堂チャチャチャ・竹山雄一朗さん:
(食材を)加工してもらうのも金がかかるが、人件費と比べると断然安い。
仕込みをする時間がなくなったことで、残業の減少にもつながったといいます。
仕込み代行サービスに取り組むプレコフーズの業績は、コロナ禍で一時低迷したものの、その後、右肩上がりに成長。
取引のある店舗はコロナ直後と比べ、約1.7倍の3万2000軒に増えています。
人手不足対策に役立つサービスについて、立教大学経済学部の柏木理佳特任教授は、「学校給食や高齢者施設の食事の調理も人手不足から業務委託への動きが顕著。作業をAI化しても、慣れるのに時間を要する。業務内容を細分化し、ピンポイントで業者に代行する動きは、今後も増えるとみられる」と話しました。
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